2006 Fiscal Year Annual Research Report
コナラ・ミズナラ稚樹における昆虫類の食害と土壌養分の影響
Project/Area Number |
05J02313
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
水町 衣里 京都大学, 農学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | コナラ属 / 食害 / 生物間相互作用 / 土壌養分 / 葉面積 / 産卵行動 / 植食者 / シュート |
Research Abstract |
コナラ雅樹の土壌養分条件によって、植食者ヒメクロオトシブミの産卵行動がどのような影響を受けるのかを明らかにした。 1.土壌養分が多い方のコナラ稚樹には、ヒメクロオトシブミの揺籃が多く作られた。養分の多いコナラ稚樹では、養分の少ない稚樹に比べて、新しいシュートが多く生産されることが分かっている(Mizumachi et a1. 2004)。このため、養分の多いコナラ稚樹は、オトシブミのメスが利用することのできる葉を、養分の少ない稚樹よりも、たくさん提供していることになる。これが、養分の多いコナラ稚樹に揺籃が多く作られた主な要因である。また、樹木の葉質や葉面積は、土壌の養分条件によって変化することが知られている。養分の多いコナラ稚樹は、窒素濃度が高く、面積の大きい葉を生産する。ヒメクロオトシブミのメスが揺籃の作成場所を決定する際に、このような葉質や葉面積を指標として用いている可能性も考えられる。 2.土壌養分が多い方のコナラ稚樹に作成された揺籃では、2個以上の卵が産みつけられている場合が多かった。握籃に使用されていた葉の面積を測定したところ、2個以上の卵が産みつけられていた揺籃の方が、大きい葉を利用して作成された揺籃だった。一方、作成された揺籃の重量と羽化成虫の重量には、正の相関が見られ、揺籃サイズが大きいほど、羽化成虫が大きくなることも明らかになった。オトシブミのメスが、養分の多いコナラ稚樹の葉を選択した場合、葉面積の大きな葉を利用して、子供のサイズを大きくできる、もしくは、複数の子供を羽化させることができる可能性がある。以上のことから、土壌養分条件がコナラの成長様式に違いをもたらし、その違いが、ヒメクロオトシブミの産卵行動の違いに関与していることが示唆された。
|
Research Products
(1 results)