2005 Fiscal Year Annual Research Report
東南アジア・オセアニアにおけるキダチトウガラシの分布及び伝播
Project/Area Number |
05J02318
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山本 宗立 京都大学, 農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 系統分類 / 形態的特徴 / アイソザイム分析 / 光周期 / 花芽分化 / 台湾原住民 |
Research Abstract |
キダチトウガラシ(Capsicum frutescens L.)の分布や伝播を探る上で必要な基礎研究として、様々な光周期がキダチトウガラシの花芽分化に及ぼす影響を調べた。その結果、6h、9h、12h、15h、18h、21h、24hの全ての周期においてトウガラシ(C.annuum L.var.Takanotsume)の花芽は正常に分化し開花に至ったが、キダチトウガラシの小笠原諸島系統は15h、18h、21h、24hの光周期において花芽分化は起きるものの正常に花芽が発達せず落蕾するものが多く、さらに正常に発達したものも開花に至るまでの日数が非常に長くなった。また、沖縄系統は15h、18h、21h、24hの光周期では実験期間内に花芽分化が起きなかった。これらの結果から、キダチトウガラシとトウガラシとでは光周期に対する反応が違うことがわかり、長日条件ではキダチトウガラシの花芽分化や花芽発達が阻害されることが示唆された。 一方、沖縄のキダチトウガラシ在来系統がインドネシアから伝播してきた可能性が高いことをこれまでの研究で明らにしてきたが、インドネシアから沖縄までの伝播経路の中間に位置する台湾におけるキダチトウガラシの情報が欠けていた。そこで特に台湾原住民に着目し、彼らが利用するキダチトウガラシと他の香辛料の現地での呼称、栽培方法、食文化への取り入れ法等を調査した。その結果、台湾北部地域ではほとんどキダチトウガラシを利用せず、山胡椒(Lindera属の果実)を以前から多く利用してきたことがわかった。それに対し南部ではあまり山胡椒は利用しない、あるいは山胡椒の存在自体が知られていないことが多く、その代わりキダチトウガラシが彼らの食文化に取り込まれていた。台湾原住民はそれぞれの自然環境にあった植物(香辛料)を食文化に取り入れていることがわかった。
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