2005 Fiscal Year Annual Research Report
交雑を介した被子植物の多様化:交雑種の送粉様式の変化が花形質の進化に果たす役割
Project/Area Number |
05J02323
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
奥山 雄大 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 雑間交雑 / 遺伝子浸透 / 倍数化 / チャルメルソウ / キノコバエ / 種分化 / 多様化 / 分子系統解析 |
Research Abstract |
私は日本産チャルメルソウ類14種66個体を用い、葉緑体や核リボゾームのETS領域及びITS領域のDNA配列を用いた分子系統解析を行った結果、これらの分子マーカー間の情報に有意な違いが有り、その違いは同所的な種間での交雑による遺伝子浸透に起因することを明らかにした(Okuyama et al.,2005)。さらに葉緑体発現型グルタミン合成酵素をコードする核遺伝子の解析から、このグループの多様化過程にどのように種間交雑が介在しているかをより詳細に明らかにした。すなわち、1)日本産チャルメルソウ類の大半を占めるチャルメルソウ節は、北米産二倍体M.pentandraとおそらく絶滅した未知の二倍体種とのただ一回の交雑に由来する異質倍数体の単系統群であり、2)さらに日本産チャルメルソウ節のうちのいくつかは、異なる種の融合に由来する交雑種である-例えばツクシチャルメルソウはおそらくトサチャルメルソウ×シコクチャルメルソウに由来している-、3)この上多くの種は現在同所的に共存する異種から遺伝子浸透を受けているということが示唆された。 次に私は日本に加え、北米アイダホ州、ワシントン州、オレゴン州の計27地点での野外調査及び文献調査から、チャルメルソウ類26種の送粉様式を解明した。この情報から核リボゾームDNAの塩基配列を用いた分子系統樹を利用し、本群の特殊な送粉様式であるキノコバエ媒が繰り返し起源している可能性を示唆した。 現在は東アジア産チャルメルソウ節の人工交配及び自殖系統の作成を行っており、将来本群の適応形質についての連鎖解析を行うための準備も進めている。
|
Research Products
(1 results)