2006 Fiscal Year Annual Research Report
ボルネオ島河川急流域にみられるボルネオハヤセガエル属の種分化について
Project/Area Number |
05J02325
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
島田 知彦 京都大学, 大学院人間・環境学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ボルネオハヤセガエル属 / 分類学 / 隠蔽種 / 基準標本 / 幼生形態 / 音声 / DNA抽出 / ボルネオ島 |
Research Abstract |
平成18年度もその前年に引き続き、対象生物であるボルネオハヤセガエル属の分類学的問題を解決することを目的とした研究を行った。前年度までに採集した標本に加え、平成18年11月に野外調査を行って採集された標本を用い、遺伝的・形態的な解析を行った。またマレーシアのKinabalu Parkに所蔵されている標本に関して、現地で詳細な計測を行うなどしてデータの蓄積を図った。さらに、大阪自然史博物館に所蔵されている標本を借用して計測を行う一方、液浸標本からDNAを抽出する試みを行った。 その結果として、平成18年度中には本属の分類学的問題を扱った論文が1編受理された。この論文中では最終的な分類学的措置までは踏み込めなかったものの、Meristogenys amoropalamusなどの種に関して、隠蔽種の存在を示唆するデータを盛り込むことができた。この隠蔽種の問題に関係して、サバ大学から借用した幼生標本に関する報文を現在投稿中であり、また大阪自然史博物館に基準標本シリーズが収蔵されているため、この標本からDNA抽出を試みたところ、パラタイプ標本に関してDNAの増幅に成功した。 また、先述の論文においては、これまで混乱状態にあった本属の幼生と成体の対応関係を整理し、4つの既知種と1つの未知種の幼生について比較的詳細な形態的記述をすることができた。その結果、これまで様々な先行研究によって発表されてきた本属の幼生の形態に関する記述には、我々の見地から見て支持できるものと支持できないものがあることがわかった。 さらに平成17年度と同様、18年度も幼生の生息環境や成体の音声などについてデータを収集した。特に成体の音声に関してはこれまで音声が録音されていなかったいくつかの種に関して録音に成功した。
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Research Products
(2 results)