2005 Fiscal Year Annual Research Report
ボルネオ島河川急流域にみられるボルネオハヤセガエル属の種分化について
Project/Area Number |
05J02325
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
島田 知彦 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 分類学 / 両生類 / ボルネオ / 分子系統 / 形態学 / 自然史学 |
Research Abstract |
本年度は主乏して、対象動物であるボルネオハヤセガエル属の分類学的問題を解決することを目的とした研究を行った。前年度までに採集した標本に加え、2005年8月と2006年3月に野外調査を行って採集された標本を用い、遺伝的・形態的な解析を行った。さらにアメリカ合衆国のField Museum of Natural Historyと、マレーシアのUniversity Malaysia Sabah、Kinabalu Parkに収蔵されている標本に関しても、貸借、あるいは現地で計測するなどして、情報を蓄積した。特に幼生標本に関しては、発生段階を考慮して、従来より精度の高い方法を模索し、その一部を日本動物学会において発表した。 その結果として、この属と近縁属との系統学的関係がある程度明らかになり、論文として発表する機会を得たが、肝心の種レベルでの分類学的研究に関しては、新たな情報が多く加えられたために、論文としてまとめる段階まで至ることができなかった。例えば、これまで良種であると考えていたある種には、遺伝的・形態的に大きな地理変異が存在することがわかった(日本爬虫両棲類学会で発表)。また別の種には、遺伝的・形態的に異なる2系統が含まれると考えていたが、8月の調査で、これらとは遺伝的に異なる第3の系統が得られた。これらの分類学的問題を解決するためには、より詳細な形態学的解析を行う必要がある。 また、次年度以降の研究内容の予備的な調査として、今年度は成体の音声と、幼生の生息環境の情報収集にも努めた。
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Research Products
(3 results)