2005 Fiscal Year Annual Research Report
分裂酵母Cut1/Cut2複合体の間期における新機能の研究
Project/Area Number |
05J02328
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
安達 陽 京都大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 分裂酵母 / DNA損傷修復 / リン酸化 / コヒーシン |
Research Abstract |
まず、DNA損傷に際してCut1,Cut2タンパク質がどのように機能しているかを調べるためにガンマ線照射によってDNAの二重鎖切断を引き起こした後の修復の過程をパルスフィールドゲル電気泳動によりゲノムDNAを可視化することでモニターした。その結果、Cut2の変異体では野生株に比べて修復過程に遅延が見られた。これはCut1-2複合体がDNA修復過程に直接関わっていることを示唆している。また、姉妹染色体をつなぎ止めておくのに必須の役割を果たすコヒーシン複合体の一つRad21の変異体を用いても同様の実験を行ったところ、著しい修復異常が見られた。分裂期ではコヒーシンRad21はCut1の基質として切断されることから、Cut1とRad21のDNA損傷に応じての相互的な作用機序が存在することを明らかにしていきたい。これに関連して我々はRad21がDNA損傷依存的にリン酸化修飾を受けることを発見した。このリン酸化はDNA損傷応答において中心的な役割を果たすRad3リン酸化酵素依存的であり、また、試験管内反応の結果からRad3が直接Rad21をリン酸化しうることを示した。Rad3がリン酸化の標的とするアミノ酸残基の配列が同定されているので、Rad21内でそれに相当する残基を全て非リン酸化型に置換した分裂酵母変異体を作成した。この変異体自身はDNA損傷に感受性を示さなかったが、Cut1の変異体との二重変異体を作成したところ、弱いながらも合成生育阻害を示した。このことはDNA損傷が起こると、Rad3によってコヒーシンRad21がリン酸化を受け、それによってRad21がCut1による切断を受けることがDNA損傷修復にきわめて重要な機能を果たしていることを示唆している。
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