2006 Fiscal Year Annual Research Report
MAPキナーゼの時間的制御による細胞運命決定機構の解析
Project/Area Number |
05J02330
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
戎家 美紀 京都大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | MAPキナーゼ / 増殖因子 / マイクロアレイ / 細胞内シグナル伝達 |
Research Abstract |
ERK・MAPキナーゼは非常に多くの細胞応答に関わることが知られているシグナル伝達分字である。同一の分子が複数の異なるシグナルを伝達できる理由としては、ERK活性の強さや長さ、活性化する場所の違いがシグナルの特異性を生むという概念が提唱されてきている。私はなかでも活性化時間の長さに注目しており、マイクロアレイによる遺伝子発現量の解析を中心に研究を進めてきた。昨年までに、静止期の繊維芽細胞が再増殖するためにはERKの持続的な活性化が必要なこと、この持続的活性化は一群の増殖抑制遺伝子の発現量を低く保ち続けるために必要であることを明らかにし、本年その成果を公表することができた。今年度はさらに本研究を発展させるべく、タイリングアレイという新しいタイプのマイクロアレイを用いての解析にも取り組みはじめた。タイリングアレイでは、対象生物の全ゲノムに対してプローブが等間隔で設計されており、各遺伝子に対して十数個のプローブが設計されている既存のマイクロアレイと比較すると、約80倍のデータが得られる。しかし、その膨大なデータを解析する手法はまだあまり確立されておらず、解析手法の探索が最初の主要な課題となった。その結果自分なりの解析方法をほぼ確立することができ、それによって既存のマイクロアレイでは知りえなかった新規転写産物の変化やクロマチンレベルでの変化が明らかになってきた。現在はこれらの変化とERK活性の関係を調べているところである。
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Research Products
(1 results)