2006 Fiscal Year Annual Research Report
Rheb/S6キナーゼによるボディーサイズと寿命の制御機構
Project/Area Number |
05J02331
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
本城 咲季子 京都大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | C.elegans / 老化 / カロリー制限 / Rheb |
Research Abstract |
私は線虫C.elegansを用いて、カロリー制限による寿命延長の分子機構について研究を行っている。本研究の成果の一つは、線虫におけるカロリー制限による寿命延長のアッセイ系の確立である。これまでカロリー制限による寿命延長は酵母からげっ歯類まで観察されていたにもかかわらず、線虫においては摂食障害を起こす変異体で寿命延長が見られるなど、間接的証拠しか得られていなかった。私は線虫に2日毎に摂食、飢餓を繰り返させるという断続的飢餓によって寿命が50%延長する事を示した。このカロリー制限の一種である断続的飢餓を受けた線虫では、酸化ストレスと熱ストレスに対する抵抗性が上昇していた。また、断続的飢餓を受けた線虫では老化によるミトコンドリアの形態異常も抑制されていた。このアッセイ系により、断続的飢餓による寿命延長に必要な因子の探索が可能となった。その結果、出芽酵母S.cervisiaeにおいてカロリー制限に必要とされているSIR-2.1,細胞内エネルギー状態を感知するAMPK,インスリンの下流で働くフォークヘッド型転写因子DAF-16のいずれも断続的飢餓による寿命延長に必要ではないという事を示した。またRheb/TOR/S6Kという栄養状態によって活性を制御されているシグナル伝達経路の断続的飢餓による寿命延長における役割を検討した。その結果、低分子量GTPaseRhebが断続的飢餓による寿命延長に必須であることを示した。また、飢餓による遺伝子発現の変化をマイクロアレイを用いて解析した結果、飢餓によって発現が誘導されてくる遺伝子群の一部がRhebの発現阻害によって抑制されるということを示した。このように当研究は寿命研究が集中的に行われている線虫を用いて、進化的に保存されたカロリー制限による寿命延長という現象の分子機構を明らかにしつつある。
|