2006 Fiscal Year Annual Research Report
大腸菌における染色体とプラスミドの分配の分子機構の解明
Project/Area Number |
05J02334
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
足立 隼 京都大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | バクテリア / 染色体動態 / 反応拡散系 / 位置決定 / SecA / SecY / MukB / SeqA |
Research Abstract |
我々は以前、大腸菌においてMukB・新生DNA鎖・染色体の複製起点oriC・複製終点近傍のdifなどが細胞内に規則的な配置を示し、位置の異常が染色体分配の異常と相関することを発見した。今までに染色体の位置決定・分配に関わるタンパク質としてはParCE・GyrA・MukB・MreB・SetBなどが同定され、またプロテオミクスのデータなどからMukB、AcpP、SecA、SecY、SecB、MreB、SetB、ParCE、GyrAの間のタンパク質問相互作用が報告されていたが、その意義は不明であった。 我々は、これらのタンパク質群の遺伝子変異株全てとseqA変異株がDNAジャイレースの阻害剤ノボビオシンに対して超感受性を示すことを発見した。必須遣伝子変異株のsecA、secYとacpPはPar^-(染色体分離異常)表現型を示した。GFP融合タンパク質の解析により、これらのタンパク質群の局在は二重螺旋状で細胞の一端から一端へ振動することが分かった。SecAのATPase阻害剤であるアジ化ナトリウムはこれらの振動を阻害し、SecAのATPase活性が振動において重要な役割を果たすことも分かった。 これらの結果は、大腸菌の細胞内には染色体の構築と位置決定に関わる局在が振動するタンパク質群の相互作用ネットワークが存在することを示している。これらのタンパク質群の局在のパターンは、物質の位置決定を説明する数学の系の「反応拡散系」のパターンと類似しており、以前Fプラスミドの分配機構について提唱した「反応拡散系モデル」と同様に、このネットワークがSecAをアクチベーター、SecYをインヒビターとした「反応拡散系」として染色体の位置決定に関わることを学会で提唱した。.我々はこのシステムを‘POC (Positioning of Chromosomes)'システムと命名した。
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Research Products
(1 results)