2007 Fiscal Year Annual Research Report
網膜層形成における細胞体移動を制御する遺伝子のスクリーニング
Project/Area Number |
05J02338
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
曽根 正光 Kyoto University, 生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | noncoding RNA / nuclear domain / nuclear matrix / in situ hybridization / RNA export / nervous system / knockout mouse / splicing |
Research Abstract |
網膜の層形成期には、最終分裂を終えた神経細胞は移動を開始し、特定の細胞層に位置するようになる。このような細胞タイプに特異的な振る舞いを制御する遺伝子を同定するため、網膜の2つの細胞タイプである、神経節細胞と光受容細胞に着目し、まず、両者で異なって発現する遺伝子を得ることに当たった。そして、これまでに両細胞タイプの一方にのみ発現する遺伝子を11同定した。 神経節細胞に特異的に発現する遺伝子として同定されたものの一つは、全長8.7kbにわたってタンパク質の読み枠を持たないmRNA様noncoding RNAであり、それがドット状の核内ドメインを形成していることから、Gomafuと命名した。一般的なmRNAが転写後すぐに細胞質へと搬出され、ほとんど核に局在しないことを考えると非常に興味深い性質であると言える。 本年度は、Gomafuを強制発現させた培養細胞を用いて、そのようなユニークな核局在のメカニズムの解明を試みた。その結果、スプライシング因子であるSF3b複合体を標的とした薬剤であるスプライソスタチンAを作用させるとGomafu RNAが一部核外移行することが明らかになった。今後、RNA干渉法を用いてSF3b複合体に関連する遺伝子を機能阻害することで、Gomafu RNAの核局在の分子機構を明らかにすることができると期待される。さらに、Gomafu遺伝子を完全欠損させたノックアウトマウスを用い、マイクロアレイ解析や標準組織染色によりGomafuが遺伝子発現の制御や組織形成に関わる可能性について検証した。残念ながら、そうした解析によってぐ通常の環境下ではノックアウトマウスにおいて野生型と比べて顕著な差を見出すことが出来なかった。しかしながらストレス環境下でGomafuが機能を果たす可能性は十分に考えられ、今後の検証に値する。
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Research Products
(1 results)