2005 Fiscal Year Annual Research Report
網膜層形成における細胞体移動を制御する遺伝子のスクリーニング
Project/Area Number |
05J02338
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
曽根 正光 京都大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 網膜 / noncoding RNA / 細胞移動 / 核内構造 / 層形成 / 核外輸送 |
Research Abstract |
脊椎動物の中枢神経系組織に特徴的な層構造は高度な情報処理に重要な役割を果たしている。層構造の形成期には、最終分裂を終えた神経細胞は移動を開始し、特定の細胞層に位置するようになる。このような細胞タイプに特異的な振る舞いを制御する遺伝子を同定するため、網膜の2つの細胞タイプである、神経節細胞と光受容細胞に着目し、以下のようなスクリーニングを行った。 マウス胚の網膜をばらばらにし、RT-PCR法により単一の細胞からランダムにcDNAを合成し、各種マーカー遺伝子の発現をサザンハイブリダイゼーションによって調べたところ、神経節細胞と光受容細胞それぞれについて単一細胞由来のcDNAを同定できた。次にこれらのcDNA間でサブトラクションを行い、in situハイブリダイゼーションによって、発現パターンを調べたところ、2つの細胞タイプの一方にのみ発現する遺伝子を11同定した。 神経節細胞に特異的に発現する遺伝子として同定されたものの一つは、核に局在する、全長8.7kbにわたってタンパク質の読み枠を持たないnoncoding RNA(ncRNA)であった。本年度は、このようなユニークな特徴を持つRNAの機能を解析するため、まず、蛍光in situハイブリダイゼーションにより、その細胞内局在について詳細に調べたところ、このncRNAは核内でスペックル状のドメインを形成しており、それは既知の核内ドメインとは異なるものであった。さらに、マウスneuroblastoma由来の細胞株N2a cellにこのncRNAを遺伝子導入したところ、個体組織で見られるような核内スペックル様の局在が観察された。このncRNAを発現する細胞株は神経突起を盛んに伸長する傾向があるという予備的観察を得たので、追試を行うとともに、そのメカニズムを解明する方法としてmicro arrayを検討している。
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