2006 Fiscal Year Annual Research Report
網膜層形成における細胞体移動を制御する遺伝子のスクリーニング
Project/Area Number |
05J02338
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
曽根 正光 京都大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | noncoding RNA / nuclear domain / nuclear matrix / in sutu hybridazation / RNA export / nervous system / knockout mouse / RNA metabolizm |
Research Abstract |
網膜の層形成期には、最終分裂を終えた神経細胞は移動を開始し、特定の細胞層に位置するようになる。このような細胞タイプに特異的な振る舞いを制御する遺伝子を同定するため、網膜の2つの細胞タイプである、神経節細胞と光受容細胞に着目し、まず、両者で異なって発現する遺伝子を探索した。そして、これまでに両細胞タイプの一方にのみ発現する遺伝子を11同定した。 神経節細胞に特異的に発現する遺伝子として同定されたものの一つは、全長8.7kbにわたってタンパク質の読み枠を持たないmRNA様noncoding RNA (ncRNA)であり、それがドット状の核内ドメインを形成していることから、Gomafuと命名した。 本年度はその核局在化のメカニズムの解明を中心に据えて研究を進めた。Gomafuが核と細胞質の間をシャトリングしていることが考えられたので、その可能性を以下のように検証した。Gomafuを過剰発現させた細胞株とGomafuを発現しない親株をフユージョンさせ、heterokaryon assayを行ったところ、Gomafu RNAが親株の核に移らなかったことから、Gomafuは核に保持されたまま搬出されないことが示唆された。また、Gomafuを過剰発現するトランスジェニックマウスにおいてin situ hybridizationにより細胞内局在について調べると、大部分の組織ではGomafuは核内にドット状のシグナルとして観察されたが、表皮においてはGomafu RNAの一部が核外にも存在することが明らかになった。一方、ヒト子宮頸癌由来のHeLa細胞に過剰発現させると、Gomafu RNAが分解されることを見出し、Gomafuの核局在化や安定化といった作用がある種の細胞では欠けているか弱いということが明らかになった。今後、遺伝子発現ライブラリーをHeLa細胞に導入し、Gomafuを安定に核内保持するのに必要な遺伝子のスクリーニングを行う予定である。また、Gomafuノックアウトマウスの作製が完了したので、microarrayを用いて遺伝子の発現変化を解析する。
|