2006 Fiscal Year Annual Research Report
神経軸索ガイダンス分子OLプロトカドヘリンの作用機構の解明
Project/Area Number |
05J02339
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中尾 慎典 京都大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 細胞接着因子 / プロトカドヘリン / WAVE / NAP1 / 葉状仮足 / ラフリング / シグナル伝達 |
Research Abstract |
OLプロトカドヘリンはカドヘリンスーパーファミリーのなかでも特にユニークな細胞内構造を持つ、機能未知のカドヘリンである。これまでに私は、OLプロトカドヘリンが神経回路形成期の軸索において顕著に分布していることを記述し、この分子が軸索走行や選択的束形成に重要な役割を果たしている可能性を示した。このことは並行して解析しているノックアウトマウスの表現型からも支持されている。OLプロトカドヘリンを介した軸索走行の制御機構・分子機序を解明することが本研究の目的である。 前年度までに、OLプロトカドヘリンの細胞内領域と相互作用する候補分子を、GSTプルダウン法を用いて単離した。これを質量分析法にて解析した結果、NAP1及びCYFIPを同定した。これらは、WAVEを主とするいくつかの分子と複合体を形成し、葉状仮足形成に関与することが既に報告されている分子である。 今年度は、得られた候補分子と、OLプロトカドヘリンとの相互作用を追加検証した。まず、培養細胞を用いた免疫沈降法により、両者の結合を生化学的に確認した。さらに、候補分子とOLプロトカドヘリンの細胞内における分布関係を解析するため、特にNAP1に対するモノクローナル抗体を作製した。そしてこれを用いた免疫染色により、培養細胞の葉状仮足(ラフリング面)におけるOLプロトカドヘリン及びNAP1の共局在を明らかにし、相互作用を組織学的に確認した。 現在、OLプロトカドヘリンとNAP1との相互作用が担う役割を特定する目的で、OLプロトカドヘリン全長分子、または、NAP1との結合領域を欠損した変異分子を培養細胞に過剰発現させて、培養細胞のラフリング面における表現型の解析をしている。さらに、NAP1ノックダウン条件下での表現型をも解析している。以上の観察結果を総括し、OLプロトカドヘリンの機能、及び分子機序に関するデータとして発表する予定である。
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