2007 Fiscal Year Annual Research Report
神経軸索ガイダンス分子OLプロトカドヘリンの作用機構の解明
Project/Area Number |
05J02339
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中尾 慎典 Kyoto University, 生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 細胞接着分子 / プロトカドヘリン / Nap1 / WAVE / 葉状仮足 / 細胞運動 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
OLプロトカドヘリンはカドヘリンスーパーファミリーのなかでも特にユニークな細胞内構造を持っカドヘリンである。これまでに私は、神経回路形成期の軸索におけるOLプロトカドヘリンの分布を詳細に記述し、この分子の軸索走行への寄与を示唆する結果を得た。さらに我々のグループによるノックアウトマウス解析から、この可能性が証明された。そこで、OLプロトカドヘリンを介した軸索走行の制御機構の解明を目的として本研究に着手した。 前年度までに、OLプロトカドヘリンの細胞内領域と相互作用する分子としてNap1及びCYFIPを同定し、その結合を生化学的に確認した。さらにNap1に対するモノクローナル抗体を作製し、この分子とOLプロトカドヘリンが葉状仮足において共局在することを確認した。Nap1及びCYFIPはWAVEを主とするいくつかの分子と複合体を形成し、葉状仮足形成を促進して、細胞運動を制御することが既に報告されている。 今年度は、OLプロトカドヘリンとNap1との相互作用の生物学的意義を特定する目的で、OLプロトカドヘリン全長分子、もしくはNap1結合領域を欠損した変異分子を培養細胞に過剰発現させ、両者の違いを検討した。全長分子、変異分子は共に細胞境界面に濃縮する。これらの細胞におけるNap1の局在を調べた結果、全長分子を発現する細胞ではNap1が細胞境界面に誘導されること、変異分子ではこの誘導が見られないことが明らかになった。またこれらの細胞の動きをタイムラプス観察した結果、細胞同士が接着した条件下において、OLプロトカドヘリンが細胞運動を促進させる働きがあること、この活性にNap1との結合が不可欠であることがわかった。さらにこの活性の正体は、細胞境界面における骨格系の変化によるものであることが明らかになった。現在これらの内容を総括し、雑誌に投稿中である。
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Research Products
(1 results)