2005 Fiscal Year Annual Research Report
微量必須元素セレンを含有するタンパク質の生合成機構
Project/Area Number |
05J02340
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
黒川 優 京都大学, 化学研究所, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | セレン / タンパク質 / セレノシステイン |
Research Abstract |
セレンは必須微量元素であると同時に毒性が高い元素である。生体内のセレンは主にセレンタンパク質として存在し、生殖、酸化還元、発生などに関与している。セレノシステインはシステインの硫黄がセレンに置き換わったアミノ酸である。セレノシステインは翻訳後修飾で生じるのではなく、翻訳時に、終止コドンであるUGAにより指定されることでポリペプチド鎖に挿入される。この詳細な機構は不明である。本研究は、この特殊なセレンタンパク質の生合成機構を明らかにすることを目的としている。 本年度は1)新規セレノシステイン挿入配列結合タンパク質を同定するため、^<32>PでラベルをしたRNAを合成し、マウスの組織抽出液からクロスリンクしたタンパク質を解析した。結果、腎臓に特異的にRNAと結合するタンパク質を見出した。そこで、このタンパク質を同定するため、腎臓破砕液を精製し、最終的にBlue-native PAGEで分離後、MALDI-TOF MSにて2種類のタンパク質を同定した。2)ノックアウトマウスについては、セレノシステインリアーゼのノックアウトベクターを構築した。ゲノムに対して、PCRとサザンプロット解析の条件を決定した。3)セレノシステインを特異的に分解するセレノシステインリアーゼがどのようにして基質となるセレノシステインと、基質としないシステインを区別しているのか検討した。ラット肝臓由来のセレノシステインリアーゼをクローニングし、大腸菌で発現系を構築した。さらに、システイン残基をアラニン残基に置換した変異体を構築、精製した。UV-visスペクトル解析から、375番目のシステイン残基がセレノシステインリアーゼ活性に必須であることを示した。また結晶構造解析から詳細な認識メカニズムを検討した。
|
Research Products
(1 results)