2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J02344
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松村 寛行 京都大学, 大学院医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ES細胞 / 体細胞 / 細胞融合 / リプログラミング / DNA組み換え / 染色体工学 / 多分化能 / 再生医療 |
Research Abstract |
胚性幹(ES)細胞は初期胚由来の幹細胞で、分化能や増殖能に優れているが、由来する分化細胞は移植により拒絶反応を引き起こす。我々はES細胞が体細胞を未分化細胞に変化させる再プログラム化能を持つことを細胞融合実験から発見した。この再プログラム化能を応用して体細胞融合ES細胞からES細胞由来の染色体を選択的に除去し、拒絶反応を引き起こさない個人対応型多能性幹細胞の作製を目指している。 我々は、染色体除去技術の開発を目的に、DNA複製後の姉妹染色分体間で効率よく組み換えを起こすDNA配列(染色体除去カセット)を構築した。初めに、取り除きたい染色体に染色体除去カセットを組み込んだES細胞を準備する。次に体細胞と細胞融合した体細胞融合ES細胞をDNA組み換え酵素で処理すると、融合細胞の核から染色体除去カセットが導入された染色体のみが選択的に除去される。この染色体除去技術の有効性は、マウスES細胞由来の第11番染色体、および第12番染色体の選択的除去により確認された。次に、この染色体選択的除去技術を応用し、ES細胞由来の第6番染色体を2本とも除去した。マウス第6番染色体には、未分化維持因子Nanog遺伝子が存在するため、ES細胞の未分化性維持に必須の染色体である。第6番染色体2本に染色体除去カセットを導入後、亜種マウス体細胞と融合細胞した。DNA組み換え酵素の処理により、ES細胞由来の第6番染色体が2本とも除去されたことが亜種間DNA配列多型を利用して確認された。このことから、再プログラム化により再活性化された体細胞由来のNanogの働きのみで融合細胞の未分化性が維持されている事が示された。(Matsumura et al.,Nature Methods(2007)) 今後は、染色体除去技術を応用し移植細胞の免疫拒絶に深く関わるMHC遺伝子群が集積する第17番染色体の除去を試みる予定である。
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Research Products
(1 results)