2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J02344
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松村 寛行 Kyoto University, 大学院・医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ES細胞 / 体細胞 / 細胞融合 / リプログラミング / MHC遺伝子 / 免疫拒絶 / 多分化能 / 再生医療 |
Research Abstract |
胚性幹(ES;Embryonic Stem)細胞は、胚盤胞の内部細胞塊細胞に由来する多能性幹細胞であり、体の全ての組織細胞に分化できる性質をもつ。ES細胞のもう一つの特異な性質が、限られた機能を果たすために分化した体細胞に再び多能性を呼び覚ます能力、いわゆる再プログラム化能である。ES細胞は、体細胞と細胞融合すると体細胞核の記憶をES細胞様に書き換えることができる。最近、ヒトES細胞も同様の再プログラム化能を持つことが明らかになり、ES細胞による体細胞の幹細胞化を目指した再生医療への応用が考えられている。 我々は、ES細胞の再プログラム化能を用いて個人の体細胞から多能性幹細胞を作り出すことを目的に、ES細胞と体細胞の融合細胞からES細胞由来の染色体のみを選択的に除去する技術を世界に先駆け開発した(Matsumura.et.al.,Nature Methods(2007))。 本研究では、移植細胞の免疫拒絶に深く関わるMHC遺伝子群が集積する第17番染色体(Chr17)のうちES細胞由来のものだけを選択的に取り除く技術開発に成功した。免疫拒絶反応を評価する目的で、体細胞由来型MHCのみを持つ融合細胞を同系統のマウスの腎臓被膜下に移植した。その結果、Chr17除去済み融合細胞は、長期間生着し様々な分化細胞を含むテラトーマを形成した。これに対して、Chr17除去前の融合細胞はテラトーマをほとんど形成しなかった。組織学的観察、炎症反応関連の遺伝子やタンパク質の発現、さらにCTLによる細胞傷害活性の測定結果の全てにおいて、ES細胞のChr17(MHC)の選択的除去により、体細胞型MHCのみをもつ分化融合細胞への免疫拒絶が有意に軽減されていることが明らかになった。(投稿予定)
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Research Products
(2 results)