2005 Fiscal Year Annual Research Report
神経発生・再生における神経幹細胞の分化を制御する分子メカニズムの解析
Project/Area Number |
05J02350
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
下條 博美 京都大学, 医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 神経発生 / 神経幹細胞 / Hes / ニューロン / グリア細胞 / マイクロアレイ / 増殖 / 分化 |
Research Abstract |
神経発生過程においては、神経幹細胞から厳密にコントロールされたタイミングでまずニューロンが産生され、続いてグリア産生が起こる。このニューロン産生からグリア産生に至る過程において神経幹細胞は刻々とその性質を変化させる。この変化は転写因子や細胞外因子に対する受容体の発現変化などが想定されているが、幹細胞を選択的に回収する手段がなく、性質の変化を解析することは困難であった。bHLH型転写因子であるHes遺伝子はこれまで、神経幹細胞に強く発現し、神経幹細胞の維持に関与していることが示されている。 本研究では、Hesプロモーター下に半減期の短いEGFPをつなぐことにより神経幹細胞を可視化したトランスジェニックマウスを用いて、神経幹細胞の性質を制御する分子メカニズムの解析を行う。このトランスジェニックマウスでは、脳室周囲帯の未分化な細胞でのみEGFPの発現が認められており、非対称分裂時には幹細胞としてとどまる娘細胞のみがマークされる。このトランスジェニックマウスから様々な発生段階の神経幹細胞を選択的に回収し、マイクロアレイ等を用いて遺伝子発現の網羅的解析を行い、刻々と変化する幹細胞の性質を制御する遺伝子および因子の探索をを行う。神経幹細胞の増殖・分化メカニズムが分子レベルで明らかにされれば、神経発生機構および再生機構の解明に大きな前進をもたらすものとなる。さらに、このトランスジェニックマウスを用いた神経損傷モデルを作成し神経再生機構を解明することで、成体内在性幹細胞からの組織再生の手法を確率を目指している。
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