2005 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノム損傷後にみられる損傷記憶と遅発性突然変異の分子機構の解析
Project/Area Number |
05J02357
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
竹田 純 京都大学, 医学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 遅発性突然変異 / 非標的変異 / 遺伝的不安定性 / 損傷 / 組み換え / 修復 / DNA2本鎖切断 / Rad51 |
Research Abstract |
私はこれまでに、分裂酵母においてX染照射後に突然変異頻度が上昇し、それが6〜10細胞世代にわたって高い頻度のまま保たれることを明らかにしてきた。これはゲノム損傷によって遺伝的不安定性が誘導され、遅延的に突然変異が誘発された可能性を示唆する。また、今までに行われた遅発性突然変異の研究結果から、この突然変異は非標的変異である可能性が高い。本年度は、その分子機構を解析するための実験系の確立に取り組んだ。 本年度に行った研究を次にまとめる。前年度までに用いていた遺伝子重複を利用した組み換え検出マーカーを、修復系因子であるRad51欠損株に導入し、X線により誘導される組み換えがRad51依存的であることを明らかにした。次いで、この遺伝的不安定性がX線によるDNAの切断とその修復によって直接的に誘発されるのか、あるいは損傷箇所からの二次的なシグナルによって非標的変異として誘発されるのかを判別するために、出芽酵母のHOエンドヌクレアーゼを利用した染色体切断系を上記の実験系に組み込んだ。 現在、組み換え検出マーカーに対しHO標的配列を重複領域から様々な距離に置き、さらには異なる染色体上に置いた株を作成することに取り組んでいる。この細胞内でHOエンドヌククレアーゼを発現させることで、突然変異誘発がDNA2本鎖切断の直接的な影響なのか、間接的に誘発される組換え系を介したものなのかを区別できる。また、遅発性突然変異の原因としてDNA複製の遅れが示唆されていることから、複製フォークの進行方向に対して組み換え検出マーカー遺伝子の向きが異なる2系統を作製している。この解析からDNA複製の方向や速度の遅れが、組み換え頻度そのものや損傷後に見られる遺伝的不安定性に関与しているかどうかの検討も行う。
|