2005 Fiscal Year Annual Research Report
コーカンド・ハーン国期におけるフェルガナ・ムスリム社会の形成とイスラーム
Project/Area Number |
05J02387
|
Research Institution | The Toyo Bunko |
Principal Investigator |
河原 弥生 (財)東洋文庫, 研究部, 特別研究員(PD)
|
Keywords | コーカンド・ハーン国 / 民間所蔵史料 / スーフィズム / 聖者伝 / カシュガル・ホージャ家 / マザール / 聖裔 / 系譜 |
Research Abstract |
2005年度は、すでに収集してあった、聖裔の系譜書、スーフィー教団員たちのイルシャード・ナーマ(免許状)、著名な聖者の聖者伝などの民間所蔵文書の解読をすすめるとともに、現地調査を行って、新史料の発見につとめた。 8月5日〜9月3日には、科学研究費補助金により、ウズベキスタン及びタジキスタンにおいて、現地調査を行った。聖裔の子孫たちからの聞き取り調査と、民間に所蔵される史料の調査・撮影を行った。この結果、コーカンド・ハーンの君主シェールアリー・ハーンの系譜書を発見し、撮影することができた。 11月5日には、内陸アジア史学会大会において、「カシュガル・ホージャ家アーファーク統の活動に関する一考察---聖者伝に見るホージャ・ハサンの生涯と活動」と題する発表を行った。そこでは、東トルキスタンでの活動のみが検討されてきたカシュガル・ホージャ家の活動が、ホージャ・ハサンによって、西トルキスタンに広められていたことについて、収集文書を用いて検討した。また、この文書を他の史料との比較して詳細な考察を行い、『アジア・アフリカ言語文化研究』に、「『ホージャ・ハサン・サーヒブキラーン伝』---フェルガナ盆地における民間所蔵史料の研究」を投稿し、掲載が決定した。 11月27日には、国際学術会議、"Mazars in Ferghana and Xinjiang"において、アンディジャン市近郊にある、クタイバ・イブン・ムスリムのマザールと、そこで発見された文書4点について検討を行い、コーカンド・ハーン国において聖裔の占めた位置の重要性などについて指摘した。 また、3月には、長年取り組んできたコーカンド・ハーン国史史料『選史』の校訂本を、東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所の羽田亨一教授と共同で出版した。
|
Research Products
(3 results)