2005 Fiscal Year Annual Research Report
単一分子光水素発生デバイスにおける構造活性相関の探求
Project/Area Number |
05J02413
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小澤 弘宜 九州大学, 大学院・理学研究院, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 水素 / 光分子デバイス / 光触媒 / 白金錯体 / ルテニウム錯体 |
Research Abstract |
申請者は、溶液中に無秩序に共存する3種の化学種(Ru(bpy)_3^<2+>、メチルビオローゲン、白金錯体)を機能的に組織化することにより、単分子で光増感作用と水素生成触媒作用の両機能が効率良く遂行される光分子デバイスの開発を目的として研究を進めており、これまでにその機能を有する白金ルテニウム二核錯体の第一例目の創出に成功している。本研究では、この光分子デバイスに関して1、光水素生成メカニズムの解明、2、構造-活性相関の解明、及び3、より高活性な光分子デバイスの開発を目指して研究を行う。 本年度は、第一例目である光水素発生デバイス1の骨格構造を変化させた新規白金ルテニウム二核錯体2の合成、及び光水素生成能について検討を行った。その結果、2は1に比べ約半分ほどの光量子収率しか示さないことが確認された。各種測定を行ったところ、2の第一還元電位は1のそれよりも0.5Vほど、負電位側にシフトしていることが分かった。これは、2が水の還元反応を行うドライビングフォースが低下したことを示しており、光量子収率が低下した原因の一つであると考えられる。 次に、デバイス1の触媒反応メカニズムについて詳細な検討を行うため、新たに各種光干渉フィルターを購入し、様々な光照射下での水素生成初速度の測定を行った。始めに、デバイス濃度依存性について検討したところ、水素生成初速度は、デバイス濃度に一次に比例することが再確認された。次に、入射光子数依存性について検討したところ、同様に初速度は入射光子数に一次に比例することが分かった。さらに、照射光の波長依存性についても検討した。その結果、得られたアクションスペクトルはデバイス1の吸収スペクトルに一致することが分かった。
|