2005 Fiscal Year Annual Research Report
ショウジョウバエの左右性を逆転させるsoutherの責任遺伝子の同定と機能の解析
Project/Area Number |
05J02435
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
穂積 俊矢 東京理科大学, 基礎工学研究科, 特別研究員DC2
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Research Abstract |
左右相称動物においても、内臓には左右非対称な形態が観察される場合がある。近年、脊椎動物において、左右非対称性形成に関する多くの知見が得られているが、前口動物においては、この機構はほとんど理解されていない。そこで、遺伝学的手法が駆使でき、発生学的に理解の進んでいるショウジョウバエを用いて研究を行った。胚と成虫の内臓で、高頻度で左右性の逆位が観察されるsouther突然変異体の責任遺伝子を同定する目的で、突然変異体を用いて相補性試験を行った結果、souther突然変異体の責任遺伝子はMyo31DFであることが示唆された。Myo31DFの機能する領域を同定した結果、正常な中腸と後腸の左右非対称形成には、Myo31DFが後腸上皮細胞で機能することが必要であることが示唆された。Myo31DFとアクチン細胞骨格との相互作用について調べるため、抗Myo31DF抗体染色を行った結果、野生型胚の後腸上皮で、Myo31DFは、細胞膜のアクチン繊維と共局在していた。また、Rhoのドミナント・ネガティブ型の蛋白質を後腸上皮に過剰発現した胚や、GFP-moesinを後腸に過剰発現し、後腸上皮の頂端部のアクチン繊維が減少した胚を観察した結果、中腸と後腸の左右性の逆転が観察された。このことから、Myo31DFはアクチン細胞骨格依存的に左右非対称性を形成していることが示唆された。Myo31DFと高い相同性を示すMyo61Fを、後腸で過剰発現すると、中腸と後腸の左右性が逆転した。また、RNA干渉法により、Myo61Fの機能をノックダウンした胚では、中腸の左右性に異常が観察されたことから、Myo61Fも左右非対称性形成に関与することが示唆された。今後、Myo31DFとMyo61Fが、消化管の左右非対称性を形成するメカニズムを解明することが、消化管の左右非対称性形成の理解に重要であると考えている。
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Research Products
(1 results)