2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J02444
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
山本 睦美 東京理科大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | B細胞 / pre-BCR / 遺伝子再構成 / アダプター蛋白 / BASH / BLNK / SLP-65 / B細胞初期分化 |
Research Abstract |
L鎖(κおよびλ)遺伝子再構成はpre-BCRシグナルによって誘導され、主に小型プレB細胞で起こる。BASH(BLNK/SLP-65)はB細胞特異的に発現するアダプター分子であり、pre-BCRおよびBCRからの細胞内シグナル伝達に重要な役割を担っている。BASH欠損マウスでは、骨髄において細胞表面にpre-BCRを発現した大型プレB細胞が蓄積しており、それ以降の分化が抑制されている。この蓄積した大型プレB細胞ではRAG2蛋白の発現があるにも関わらず、L鎖κ遺伝子再構成の頻度が低下していた。よって、プロB細胞から小型プレB細胞へのいわゆるプレB細胞移行、特にpre-BCRシグナルによるRAG2発現抑制とその後の分化に伴うL鎖κ遺伝子再構成の促進にはBASHが必要であることが示唆される。そこで、本研究ではL鎖κ遺伝子再構成を誘導するBASHより下流のpre-BCRシグナル経路を解明することを目的とし解析した。その結果、平成17年度において以下のような成果を得られた。まず、急性プレB白血病を発症したBASH欠損マウスよりプレB白血病細胞株(BKO84、他)を樹立し、PMA刺激あるいはBASHの再構築によりL鎖κ遺伝子再構成やpre-BCRの発現低下を誘導することを見出した。さらに、特異的な阻害剤を用いた解析により、nevelPKC(nPKC)とMEKの活性化はL鎖κ遺伝子再構成に必須であるが、Rasは必須でないことが明らかになった。レトロウィルス感染の系よりnPKCファミリー分子の一種である活性化型PKCηやRaf-1をBASH欠損プレB細胞株に導入するとL鎖κ遺伝子再構成が誘導されたが、Rasでは誘導されなかった。以上の結果より、Ras非依存的のBASH-nPKC-Raf-1を介したpre-BCRシグナル経路がL鎖κ遺伝子再構成を誘導することが明らかになった。
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