2005 Fiscal Year Annual Research Report
計算論的アプローチによる乳幼児行動の総合的理解と住宅内事故解明への応用
Project/Area Number |
05J02449
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
北村 光司 東京理科大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | デジタルヒューマン / 行動モデリング / 乳幼児事故防止 / シミュレーション / 確率モデル |
Research Abstract |
乳幼児行動シミュレータの基本要素となる(1)乳幼児の発達行動モデル、(2)乳幼児周辺の環境モデルを作成した。また、これらのモデルを統合することで、乳幼児行動シミュレータの基本機能である、乳幼児周辺の環境のデータや、乳幼児の月齢・年齢の変化に基づいて、仮想空間内で乳幼児の行動を合成し、視覚化する機能を実現した。 発達行動モデルについては、DenverIIとして知られている乳幼児の発達行動データ(はいはい、つかまり立ち、物の把持、など30種類程度)を用いて作成した。一方、環境モデルについては、環境内の物体(机、椅子、ストーブなどの什器類、および、灰皿などの小物類100種類程度)とその物体によって誘発される行動の関係と、乳幼児の行動観察実験より得られた知見である、物体と乳幼児との距離と興味議発確率の関係を用いて作成した。 乳幼児行動シミュレータの機能の現時点での評価を行うために、行動観察実験より得られたデータを用いて、シミュレータが予測した行動と実際の乳幼児の行動とを比較した。具体的には、シミュレータに乳幼児の年齢、物体と乳幼児の位置、乳幼児の現在の行動を入力することで、次の行動を確率値とともに予測し、その結果と観察データとを比較し、再現率と精度、F値を指標として評価した。その結果、F値が、本研究で乳幼児がとりうるとした行動を常にとる予測した場合に比べ、本研究で作成した行動モデルを用いて予測した場合の方が、2〜3倍高いことを確認した。また、行動モデルを部分的に使わない場合に関しても、F値を4種類算出したところ、どの場合でも行動モデルを全く使わない場合に比べてF値が高いことが分かった。つまり、本研究の行動モデルに用いている要素は、乳幼児の行動を表現する上で重要であることが確認できた。
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Research Products
(1 results)