2006 Fiscal Year Annual Research Report
地球潮汐による地震トリガー作用の発現特性-起震応力場変化との関連性の解明-
Project/Area Number |
05J02489
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Research Institution | National Research Institute for Earth Science and Disaster Prevention |
Principal Investigator |
田中 佐千子 独立行政法人防災科学技術研究所, 地震研究部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 地震トリガー作用 / 地球潮汐 / 起震応力場 / 統計検定 |
Research Abstract |
平成18年度は,地球潮汐による地震トリガー作用の出現特性を明らかにすることを目的とし,統計的手法に基づいた地震データの解析により,以下の2つの研究を行った. 1.2004年12月26日に発生したスマトラ島沖地震(Mw9.0)の震源域周辺の地震活動について,地球潮汐と地震発生の関係を調査した.その結果,本震の発生に先立ち,約10年間にわたって両者の間に高い相関が現われていたことが明らかとなった.このとき,地震発生は地球潮汐による応力変化が断層のすべりを促進する位相付近に集中する.このことは,得られた相関が統計的な偶然ではないことを示している.さらに,本震発生前に認められた高い相関は,震源域全体ではなく,破壊開始点近傍の震源域南側の領域に限定されることが明らかとなった.これらの特徴は,地球潮汐による地震トリガー作用の出現の有無が大地震発生の準備過程に密接に関連していることを示しており,この現象の観測が大地震に至る応力蓄積過程の監視に有効である可能性を示唆している. 2.2005年8月16日にMj7.2の地震が発生した宮城県沖に注目し,地球潮汐と地震発生の関係を調査した.その結果,2002年以降,2度にわたり,両者の相関が顕著となっていたことが明らかとなった.いずれの場合も,相関が顕著な期間は約1年間であり,地震発生は地球潮汐による応力変化が断層のすべりを促進する位相付近に集中する.また,これらの期間において特に相関の強い領域は,直後に発生したMj6.8,Mj7.2の地震と空間的に密接に関連していることが明らかとなった.このことは,これらの大地震に約1年先行して,地球潮汐による地震トリガー作用が顕著に出現していた可能性を強く示唆している.
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