2005 Fiscal Year Annual Research Report
都市におけるトンネルと近接構造物の力学的相互作用に関する研究
Project/Area Number |
05J02504
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
菊本 統 名古屋工業大学, 工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | トンネル / 近接構造物 / 力学的相互作用 / 地盤工学 / 有限要素解析 / 構成モデル / 構造物基礎 / 模型実験 |
Research Abstract |
トンネル掘削に伴う土圧変化や地盤の変形は,設計における重要な検討項目である.これに対して,かねてより様々な予測法が提案され,実際の設計にも用いられてきた.しかし,その大半はトンネルが単独で掘削される状況を想定しているため,地中・地表の構造物に近接してトンネルを施工する場合には,トンネルと周辺構造物の相互作用を考慮した予測法が必要となる.しかしながら,これまでそのような観点に基づいた手法は提案されていなかった. 本研究では,まず実際の複雑な施工・地山条件を単純化して,構造物の相対的な位置関係や施工順序など主要な因子のみを模擬したシンプルな実験を行い,トンネルと近接構造物との相互作用メカニズムを基礎的な立場から検討した.その結果,トンネル周辺に構造物が存在しない場合と比較して,近接構造物が存在する場合には,土圧変化や地表面沈下形状に顕著な影響があらわれることがわかった.例えば,トンネル周辺の地表に構造物基礎が存在する場合,土圧変化や地盤の変形はトンネル中心軸に対して左右非対称に生じ,トンネル掘削時にトンネル周辺で生じた地盤の変形は構造物基礎の方向に進展することがわかった.また,このような構造物基礎の形式や構造物の規模(重量)によっても異なること,同じ構造物基礎に近接してトンネル掘削をする場合,卓越した影響を及ぼす要因はトンネル天端と構造物端の距離であることなどが明らかにされた. さらに本研究では,トンネルと近接構造物の力学的相互作用の定量的評価を目指して,地盤の力学特性を適切に考慮した数値解析解析(有限要素解析)を実施した.その結果,数値解析で得られた結果は模型実験の結果を精度よく捉えた.したがって,トンネル周辺における力学現象は本数値解析によって再現可能であり,今後,トンネルの掘削過程や寸法などの点で実験より現実的な条件下で検討する際には,解析的な検討が有効であることが示された.
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