2005 Fiscal Year Annual Research Report
時間分解赤外分光法によるロドプシンの情報伝達過程でのタンパク質間相互作用の解明
Project/Area Number |
05J02511
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
古谷 祐詞 名古屋工業大学, 工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 生物物理 / 生体分子 / 赤外分光法 / 水素結合 / タンパク質間相互作用 / タンパク質 / ロドプシン / 水分子 |
Research Abstract |
本研究は、視物質ロドプシンやファラオニスフォボロドプシン(ppR)などの様々なロドプシンと情報伝達タンパク質(視物質ロドプシンにおいてはトランスデューシン、ppRにおいてはpHtrII)との相互作用を室温において実時間で捉え、その構造ダイナミクスを原子レベルで明らかにすることを目的としている。そのため、本年度は時間分解赤外分光測定系を構築するために、構造変化情報が豊富なバクテリオロドプシンを用いた実験を行った。その結果、マイクロ秒からミリ秒の時間分解能での計測が可能であることを確認し、さらにはこれまでまったく情報がなかったタンパク質内部に結合した水分子のO-H伸縮振動の時間分解計測に成功した。この結果は、現在原著論文を作成中である。 また、ppRとpHtrIIとのタンパク質間相互作用については、定常光照射により活性化中間体を蓄積させるという手法を用いることにより、低温である250Kだけでなく、より生理的な温度である293Kにおける赤外分光計測を行うことに成功した。その結果、膜内領域に存在するppRのTyr199とpHtrIIのAsn74の水素結合は温度に関係なく中間体形成に伴って強くなる一方で、ppRの膜貫通ヘリックスの動きは室温に近いほどpHtrIIとの相互作用により阻害されていることを明らかにした。前者の結果はBiochemistry誌44巻2909-2915頁に発表し、後者の結果についてもBiochemistry誌に掲載が決定している。 研究代表者は名古屋工業大学工学研究科助手に就任するため、残念ながら視物質ロドプシンやppRの時間分解赤外分光計測には至らずに本研究を終了することとなるが、将来、新たに研究提案を行い本年度得られた結果を糧に研究目的を達成したいと考えている。
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Research Products
(6 results)