2005 Fiscal Year Annual Research Report
触媒設計の新発想:柔軟性の高い触媒や触媒混合物の開発と炭素弗素結合形成反応の開発
Project/Area Number |
05J02524
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
石丸 剛久 名古屋工業大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 触媒的キラル炭素弗素結合形成 / DBFOX-Ph / 過塩素酸ニッケル6水和物 / NFSI / α-フルオロ-β-ケトエステル / α-フルオロオキシインドール化合物 / MaxiPost |
Research Abstract |
初年度は,完全に立体を制御した触媒的キラル炭素弗素結合形成反応の開発を行った。不斉触媒の探索研究を行ったところ,1998年に金政先生らによって開発された(R,R)-4,6-Dibenzofurandiyl-2,2'-bis(4-phenyloxazoline)(DBFOX-Ph)が非常に優れた不斉弗素化触媒となることを見出した。反応は,まず10mol%の過塩素酸ニッケル6水和物及び11mol%のDBFOX-Phを混合し,減圧下で2時間乾燥させた後,塩化メチレン溶液とし,さらにMS-4Åを加え1時間撹拌させた。そこに種々のβ-ケトエステルを加えた後,1.2当量のN-Fluorobenzenesulfonimide(NFSI)を加え室温にて撹拌した。その結果,目的のα-フルオロ-β-ケトエステルを最高99%の不斉収率で与えた。さらに,N原子をBoc基で保護したオキシインドール化合物を基質として用い,同様に触媒的不斉弗素化反応を試みたところ,医薬品として重要なリード化合物であるα-フルオロオキシインドール化合物を最高96%eeで得ることにも成功した。また,虚血性脳血管障害治療薬であるMaxiPostを93%の不斉収率で与えた。キラル含弗素化合物は,医薬品・農薬など幅広い分野に応用できるため,これまでには達成されなかった極めて高いエナンチオ選択性で目的物を得ることに成功したこれらの結果は,大変意義深いものである。 さらに,このシステムはβ-ケトエステル類の触媒的不斉塩素化反応,触媒的不斉酸化反応,及び触媒的不斉スルフェニル化反応にも応用することができ,それぞれ目的の化合物を最高98%ee,93%ee,92%eeで与えることも見出した。このように触媒的キラル炭素弗素結合形成反応の開発だけでなく,ヘテロ原子の触媒的不斉導入にも成功した。
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Research Products
(1 results)