2007 Fiscal Year Annual Research Report
触媒設計の新発想:柔軟性の高い触媒や触媒混合物の開発と炭素弗素結合形成反応の開発
Project/Area Number |
05J02524
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
石丸 剛久 Nagoya Institute of Technology, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | キナアルカロイド / 触媒的アプローチ / アリルシラン類 / (DHQ)_2 PYR / NFSI / シリルエノールエーテル類 / (DHQ)_2 PHAL |
Research Abstract |
本研究室で開発されたキナアルカロイドを用いる不斉フッ素化反応は,シリルエノールエーテル類,オキシインドール類,α-シアノ化合物,β-ケトエステル類,アリルシラン類など広範囲な基質に対して高い不斉収率を示す極めて実用性の高いものである。しかし問題点として,いわゆる「試薬」としての性格上,化学量論量のキナアルカロイドを必要とする点があげられていた。そこで最終年度である3年目は,1年目2年目で培った技術知識及び結果を踏まえ,これまでの研究の集大成としてキナアルカロイドを用いた触媒的不斉フッ素化反応の開発に取り組んだ。 その結果,「触媒的アプローチ」を展開することでキナアルカロイドの触媒化に成功し,これまでの技術では達成不可能であったアリルシラン類及びシリルエノールエーテル類への触媒的不斉フッ素化反応の開発に成功した。すなわち,基質にアリルシラン類を用いた場合では,アセトニトリル中,炭酸カリウム存在下,触媒量のキナアルカロイドとして(DHQ)_2PYR(10mol%),フッ素化剤にN-フルオロベンゼンスルホンイミド(NFSI)を用いて反応を行うことで最高95%のエナンチオ選択性で目的のフッ素化体を与えた。本結果は,アリルシラン類への初の触媒的不斉フッ素化反応であるだけでなく,これまでに報告されている2点配位型の金属触媒やプロリン由来の有機触媒を用いる手法では達成することができないことを考慮すると大変重要な結果であると言える。また,本手法はシリルエノールエーテル類に対しても適用可能であり,キナアルカロイドに(DHQ)_2PHALを用いることで最高86%のエナンチオ選択性で対応するα-フルオロケトン類の触媒的不斉合成にも成功した。さらに,本反応を活用することで,有機触媒を用いた初のオキシインドール類への触媒的不斉フッ素化反応を達成することもできた。
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