2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J02525
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
柴田 幹大 名古屋工業大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 生物物理 / ナノバイオ / 生体分子 / 蛋白質 / 光スイッチ / 水分子 / 赤外分光 / 水素結合 |
Research Abstract |
本研究は低温赤外分光法を分子ポンプ蛋白質であるバクテリオロドプシン、ハロロドプシンに適用し、これらの蛋白質が機能を発現する上で、蛋白質内部に結合した内部結合水のはたらきを明らかにすることが目的である。本年度の研究実績を以下に記述する。 1.本年度は主にバクテリオロドプシンの初期中間体との赤外差スペクトルに現れる水分子のO-D伸縮振動が、蛋白質内部のどこの水分子に由来するのかを帰属するため、系統的な部位特異的変異体を用いて低温赤外分光測定を行った。これまでに、研究代表者の行った実験から、最も低波数に現れる水分子のO-D伸縮振動は蛋白質内部の活性中心に存在する水分子に由来することを報告しているが、本年度はさらに多くの部位特異的変異体を駆使することにより、赤外差スペクトルに現れる全ての水分子のO-D伸縮振動が、活性中心に存在する水分子に由来することを明らかにした。その成果を原著論文として報告した。 2.ハロロドプシンはプロトンではなく、塩化物イオンを輸送する光駆動ポンプ蛋白質である。また、ハロロドプシンは塩化物イオン以外にも、臭化物イオン、ヨウ化物イオンを蛋白質内部に結合し、塩化物イオンと同様にポンプすることが知られている。そこで、塩化物イオン以外を結合した試料を作製し、イオンの大きさが水分子の水素結合構造にどのように関わるのかを低温赤外分光法により明らかにした。その結果、クロライドイオンの輸送を引き起こす段階でレチナールシッフ塩基はクロライドではなく、水分子と相互作用することがわかった。この結果を元に、全く新しいクロライド輸送機構のモデルを提唱することができ、原著論文として報告した。
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Research Products
(2 results)