2005 Fiscal Year Annual Research Report
革新的ナノヘテロ機能高分子の研究と分子変換固体媒体としての応用
Project/Area Number |
05J02545
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
上野 寛仁 茨城大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 多糖類 / アガロース / 拡散 / 対流 / 結晶 |
Research Abstract |
本研究で用いた多量の水を含む多糖類固体はバルク中の対流はおこらないが、分子の自己拡散は溶液中と同様に起こるものである。これらの多糖類固体中でのさまざまな化学過程をバルク中の自然対流と分子の自己拡散とを区別し研究した。分子の自己拡散と容器中の自然対流を区別し、分子の拡散と容器中の自然対流が化学過程にどのような影響があるのかを調査することは重要なテーマである。 アガロース固体中でのRu(bpy)_3^<2+>の三次元拡散は自己拡散によってのみ起こった。アガロース固体中におけるRu(bpy)_3^<2+>の時間当たりの拡散距離は、サイクリックボルタンメトリーを用いて測定したアガロース個体中のRu(bpy)_3^<2+>の拡散係数より見積もった理論的な拡散距離と一致した。同様に水溶液中で測定した場合、Ru(bpy)_3^<2+>の時間当たりの実際の拡散距離は理論的な拡散距離より遥かに大きいものとなった。このことは、水溶液中では、分子の拡散が主に対流によって起き、アガロース固体中の分子の拡散は分子の自己拡散のみで起こっていることを示している。また、チオニンの二次元拡散もアガロース固体中において自然対流が無く、よく理論上の二次元自己拡散長と一致した。 また、サイクリックボルタンメトリーを用いて測定したRu(bpy)_3^<2+>とチオニンの拡散係数は、アガロース固体中で10^<-6>cm^2s^<-1>オーダー、水溶液中においても10^<-6>cm^2s^<-1>オーダーであり、高分子膜としてよく知られているナフィオン中のこれら分子の拡散係数が10^<-10>cm^2s^<-1>オーダーであることを考えると、アガロース固体中では水溶液中と同様な分子の自己拡散が起こっていることを示している。 対流は結晶の成長を妨げる要因として知られているが、本多糖類固体中で成長させた酒石酸ナトリウムの結晶は、水溶液中で成長した小さな結晶と比べ大きく良質なものが得られた。 これらを論文にまとめて投稿準備中である。
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Research Products
(1 results)