2006 Fiscal Year Annual Research Report
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05J02554
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Research Institution | Japan International Research Center for Agricultural Sciences |
Principal Investigator |
渡辺 啓史 独立行政法人国際農林水産業研究センター, 生物資源領域, 特別研究員(PD)
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Keywords | ダイズ / 開花期 / 量的形質遺伝子座 / 植物育種 / 集団遺伝学 / マップベースクローニング / マーカー選抜育種 |
Research Abstract |
ダイズの開花期は複数の遺伝子によって支配されているが、それらの原因遺伝子は未だ明らかとなっていない。これまでの研究で、ミスズダイズと秣食豆公503の間では主に3つのQTL(FT1,FT2,FT3)によって開花期が制御されていることがわかっている。本研究では組換え型近交系に由来する系統のうち特定のQTLが座乗する領域が分離する系統を利用し、マップベースクローニングの手法により、原因遺伝子の単離及び機能解析を行うことを目的としている。 初年度の研究の結果、FT3の候補遺伝子を単一のTACクローン内に存在することを示した。さらに複数の親系統を用いて、様々な蛍光灯の長日条件下で表現型を調査した結果、FT3が特定の光質に反応する遺伝子であることを明らかにした。本年度は、この領域に含まれる遺伝子のうち、候補となる遺伝子を同定した。特に分離集団の親として用いたミスズダイズと秣食豆公503の間には遺伝子領域内に1アミノ酸置換が生じていた。この変異が表現型にどのような影響を与えるのかについては未だ明らかではない。 光質への反応特性が異なる親系統群の中にはFT3遺伝子の機能を欠損したアリルを持つものが複数見出され、この欠損アリルを持つ系統は特に光条件に対する感応性が弱いことを明らかにした。 候補遺伝子の定量的な発現解析の結果、ミスズダイズと秣食豆公503の親系統間では、候補遺伝子の発現量には顕著な違いは見られなかった。地上部の組織の全てでFT3の発現を検出でき、発現時期は実生の段階から恒常的であった。これはダイズの日長感応性が実生の段階で既に開始されるという報告と矛盾しないものであった。更に、FT3の候補遺伝子について独立した複数の形質転換系統を作出した。これらの中には導入遺伝子の発現が明瞭な個体も得られている。
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