2006 Fiscal Year Annual Research Report
アポトーシス抑制蛋白(IAP)を標的としたヒト癌分子免疫応答と治療法開発
Project/Area Number |
05J02569
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
廣橋 良彦 札幌医科大学, 医学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | サバイビン / AMACR / Lengsin / c10orf3 / c20orf42 / HIFPH3 |
Research Abstract |
【背景】我々は癌関連分子サバイビンにコードされる抗原ペプチドを同定し、各種悪性腫瘍を標的として腫瘍抗原ペプチドを用いた癌ワクチン療法の臨床治験を施行中である。これまでのところ、進行肺がん症例の治験結果では、従来の化学療法を用いた患者群と比較してペプチドワクチンにて治療群の方において予後が良い事が判明した。さらに本治療法は、これまでの化学療法や放射線療法とは異なり重度の副作用が見られず、患者のQOLが保たれる点にも大きな特徴がある。以上より、本治療法は新たな癌治療法の選択肢の一つとなりうると考えられ期待される。しかしながら当該治療法に用いることが出来る抗原ペプチドは非常に限られている。そこで、癌ワクチン療法の充実化を図る為、新規抗原ペプチドの同定が必要になる。そこで我々は新規がん抗原遺伝子をスクリーニングした。【方法と結果】DNAマイクロアレイによるスクリーニングにて各種悪性腫瘍に発現するc10orf3,肺がんに発現するLengsin,前立腺がんおよび各種悪性腫瘍に発現するAMACR,大腸がんおよび各種悪性腫瘍に発現するc20orf42,腎がんに発現するHIFPH3を同定した。これら5分子に対するモノクローナル抗体を作成した結果、いずれの抗体も組織レベルでの染色が可能であり、しかも正常組織と比較してがん特異的に染色可能であった。このことから今回作成した抗体はがんの確定診断に非常に有用である。また、AMACR, c10orf3,Lengsinに関しては、日本人に最も多いHLAハプロタイプであるHLA-A24に提示される抗原ペプチドを同定した。これらの抗原ペプチドはペプチドワクチン療法のさらなる可能性展開するものであり、新たな臨床治験をデザイン中である。【考察】これら新規がん抗原遺伝子群は、がんの診断および治療といった点においてがん治療改善の重要な役割を担うものと考える。
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Research Products
(6 results)