2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J02664
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Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies |
Principal Investigator |
定松 淳 総合研究大学院大学, 葉山高等研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | ダイオキシン / 環境社会学 / 科学社会学 / 科学技術と社会 / 住民運動 / 環境運動 / 科学論争 |
Research Abstract |
今年度(一年目)は、1990年代後半の国内ダイオキシン問題の一大中心地であった、埼玉県所沢市周辺地域について集中的に調査を行い、これまでの研究成果と併せて博士論文執筆に専念した。調査は順調に進み一年前とは大きく異なる認識を得ることができた。しかし、当初予定していた博士論文第一稿の提出については、プロットはほぼ完成させることができたが、細部の詰めに時間をとられたために完成には至らなかった。 所沢市周辺地域では、ダイオキシン類特別措置法の成立によって焼却施設が激減した後も、住民運動が継続している。焼却後も続行する運動の論理を、理解可能なものとして把握することができれば、昨今のダイオキシン論争(ダイオキシン対策批判)を理解する上でも有益な貢献となることが予想される。またそれは、環境社会学上の概念(受苦圏受益圏概念など)を練り直す上でも有益であるし、現代日本における科学と社会の関係を考える上でも大きな示唆に富むと考えられる。 所沢市周辺地域で中心的だった住民運動の後継団体との間にラポールを成立させることに成功し、2005年4月から2006年3月の間に、合計34回の活動に参加し参与観察を行った。(またこれとは異なる全国レベルの市民運動の集まりにも4回参加し、比較対照するための情報を収集した。)当初充分理解できなかった彼らの主張の真意が、あるきっかけから非常によく理解できるようになった。そうすると、(1)運動を支援した科学者と運動は一枚岩なのではなく、それぞれの論理のもとに一時交差的なコラボレーションが成立していること、(2)運動の論理(あるいは発展過程)が社会的に十分に伝わっていないことが、「科学的言説に踊らされている住民運動」というイメージを形成させ論争の一因となっていること、がわかってきた。
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Research Products
(1 results)