2005 Fiscal Year Annual Research Report
ヨルダン王国内のパレスチナ人社会における政治意識の考察
Project/Area Number |
05J02670
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Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies |
Principal Investigator |
錦田 愛子 総合研究大学院大学, 文化科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | パレスチナ / ヨルダン / 文化人類学 / 社会学 / ディアスポラ / 難民 / 政治意識 |
Research Abstract |
本研究ではヨルダン国内に住むパレスチナ人について、出身、移住の経緯、経済階層、現在の居住環境、教育水準等の違いによりどのような政治意識の差が生じうるか考察していく。報告者は本年度を通じて、2002〜2004年度に行ったヨルダン国でのフィールドワークによる収集資料を整理・分析し、所属する大学院内でのゼミで2回報告をし、日本国際政治学会で分科会発表を行った。学会での発表題目は『インティファーダ期におけるヨルダン王国の対パレスチナ難民政策」である。また近接のテーマとしてパレスチナ・ナショナリズムについても文献研究を行い、その成果を日本中東学会の2005年度年報に投稿し、採録が決定している。資料収集に関しては、主に日本国内からの発注で主要研究論文雑誌および図書を購入したほか、2006年2月から3月にかけてのフィールドワークでも文献を収集した。このフィールドワークは同年1月にパレスチナ自治区で実施されたパレスチナ評議会(PLC)選挙をうけて、選挙後のパレスチナ人の反応をみることを主眼としたものである。ヨルダン王国内及びパレスチナ自治区内において、様々な立場に置かれたパレスチナ人の間での反応の違いについて聞き取り調査を行った。その結果、ハマースの圧勝について、欧米マスメディアが報じる「イスラーム勢力の台頭」といった危機感とは裏腹に、彼らの間では政治的オルタナティブの選択が強く意識されていること、宗教勢力としてハマースが選択されたわけではないという共通意識が観察されたほか、ムスリムとキリスト教徒の間、個人の政治的背景等による意識の違いをうかがうことができた。今後は新政府のもと進められる和平交渉の中で、難民問題の扱いについてヨルダン国内のパレスチナ人がどう反応を示すかが注目される。
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Research Products
(1 results)