2005 Fiscal Year Annual Research Report
南アジア系移民のローカル・ヒンドゥーイズムの生成-ビルマの事例から
Project/Area Number |
05J02672
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Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies |
Principal Investigator |
中井 潤子 総合研究大学院大学, 文化科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 移民 / 宗教 / 国家 / 政治 / 仏教 / ヒンドゥー教 / マイノリティ / 適応 |
Research Abstract |
本年度の研究実績としては、現地調査によるミャンマーのヒンドゥー教組織の実態の解明が挙げられる。調査は、計6ヶ月間行った。ミャンマーは、情勢が不安定なため、本調査は世界でも初の本格的な調査であり、試みであった。調査者は、首都ヤンゴン市に居住し、宗教組織の幹部や構成員にインタビューを行った。それにより、明らかになったことは次の通りである。 ビルマは、宗教省が権力を持つ国家である。公称135の民族がいるとされる多民族国家であり、多様な宗教を抱える国であるために、宗教組織の管理が、国家にとって重要な意味を持つのである。主要民族はビルマ族であり、90パーセント近い人が仏教徒である。ヒンドゥー教やイスラム教、キリスト教を信じる人は、民族的にも異民族が多く、宗教組織の管理が、すなわちマイノリティの管理を意味する。 首都ヤンゴン市には、ヒンドゥー教組織があり、植民地期に移住してきた南アジア系移民の末裔たちが運営する。調査の結果、その主要組織であるサナータン・ダルマは、インドに対してはヒンドゥー・ナショナリスト団体である国民義勇団(RSS)の支部である。活動もインドの本部で行われているものと、著しく類似している。しかし、ビルマ政府に対しては、そのつながりを意図的に隠して活動を行っている。ビルマ政府高官を招聘して、仏教行事を熱心に行うことで、仏教国家ビルマに適応を図っているのである。
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Research Products
(1 results)