2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J02724
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Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies |
Principal Investigator |
成瀬 雅衣 総合研究大学院大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | オリゴデンドロサイト / Cystatin C / FGF-2 / in utero microinjection / 背側脳質層 / 前脳 |
Research Abstract |
従来神経細胞の支持細胞として考えられてきたグリア細胞が、神経伝達などの脳機能に積極的に関わっていることが急速に明らかになりつつある。しかしながら、発生期の神経幹細胞からのオリゴデンドロサイト・アストロサイトの運命決定の制御機構は不明な点が多い。 本研究では、当研究室でアストロサイトの分化誘導因子として単離されたシスタチンCが、オリゴデンドロサイトへの分化を抑制することを、胎齢14.5日の脳細胞を用い、神経幹細胞の培養系であるneurosphere assayと初代培養系であるprimary cultureを用いて明らかとした。FGF-2がin vivoで背側脳室層からオリゴデンドロサイト前駆細胞(OPC)の分化を誘導することをin utero microinjection法を用いて明らかにした。オリゴデンドロサイトは、胎生期には腹側領域からのみ産生されることが知られている。FGF-2を子宮内にてマウス胎仔側脳室内に投与すると、通常OPCのマーカーがまったく観察されない大脳皮質脳室層においてOPCマーカー陽性細胞が出現した。さらに、その細胞を含む領域を培養すると、その一部はオリゴデンドロサイトに分化した(論文投稿中)。すなわち、胎生期大脳皮質においては脳室層に存在している細胞はFGF-2依存的にオリゴデンドロサイトに分化する能力を有しているものの、生体内ではその量が十分ではなくオリゴデンドロサイトの分化が抑制されていることを示唆した。 これらの研究により、オリゴデンドロサイト発生、分化を制御する新たな因子の作用を明らかにした。
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