2005 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトの随意運動抑制過程における脳内の時空間的ネットワークの解明
Project/Area Number |
05J02728
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Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies |
Principal Investigator |
中田 大貴 総合研究大学院大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 随意運動 / 抑制 / 脳波 / 脳磁図 / 体性感覚 |
Research Abstract |
本研究では、ヒトが随意運動を行なう際に必要とされる「運動抑制」に関わる脳内の神経機構の解明を目的としている。本年度では、「いつの時間帯に、どのような脳活動が行なわれているのか」を明らかにするべく、時間的解像力に優れた脳波(Electroencephalography ; EEG)・脳磁図(Magnetoencephalography ; MEG)に、よる電気生理学的手法を用いて、研究を行なった。 まず、実験課題・設定を操作し、外因的な要因が抑制過程に関わる脳活動様態にどのような影響を与えるのかを、脳波を用いて検討した(Nakata et al.,Experimental Brain Research,2005)。その結果、刺激呈示後約170-200ミリ秒に、抑制に関わる脳活動が行なわれていることがわかった。また、随意運動をする際の反応時間と抑制に関わる脳活動には密接な関連があり、反応時間が早い状況下では、抑制活動も早く又は多く行なわれていることがわかった。 次に、これらの抑制過程が脳内のどこの部位で行なわれているのかを、脳磁図を用いて、その一端を明らかにした(Nakata et al.,European J Neuroscience,2005)。その結果、前頭前野の下前頭回後部に、抑制過程に関わる脳活動の発生源の一部があることがわかった。 これらの研究により、刺激呈示後約170ミリ秒の時間帯に、前頭前野の神経活動が運動抑制に関係していることがわかった。しかしながら、前頭前野だけではなく、他の脳領域も関与していることは容易に推察される。よって、その神経ネットワークを明らかにするべく、今後は機能的磁気共鳴断層画像法(functional magnetic resonance imaging ; fMRI)による脳機能イメージング手法を用いることによって、検討していきたいと考えている。
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