2007 Fiscal Year Annual Research Report
南インドの基層における政治的信頼の構造と政治関連データの視覚的利用の問題点
Project/Area Number |
05J02736
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
北川 将之 Senshu University, 法学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | インド / 政治的信頼 / 地理情報システム / 民主主義 / フィールドワーク / 地域研究 / パンチャーヤット / 国際比較 |
Research Abstract |
本研究の目的は、インド南部における政治的信頼の構造を草の根レベルで考察し、村民にとって利便性の高い地理情報データの利用法を提言することにある。 昨年度までは、政治的信頼の調査方法の検討、農村での政治意識の調査実施とその分析、社会経済データマップの作成を行った。本年度の課題は、(1)農村女性の新たな政治意識とNGO活動の関係についての現地調査、(2)歴史的な地誌資料を組み込んだ時系列的な社会経済データマップの作成、(3)社会経済データマップの視覚的理解度に関する試験の実施である。 第一に、農村女性の政治意識の変容とNGO活動の関係について、インド・カルナータカ州バンガロールで現地調査(2008年1月)を行った。NGOの組織は、都市に本拠地を置くNGO本部と現地フィールドワーカーとの密なネットワーク型の構造で構成されていた。また、カトリック系の大学では、医学部の履修プログラムに農村での往診が組み込まれていた。 第二に、社会経済データマップに歴史的資料を組み込む作業を行った。対象とする地域は、現在のバンガロール近郊(旧マイソール付近)である。英領インド統治時代のセンサスデータ(国立民族学博物館所蔵のもの)を用いて、当時の行政区ごとにカースト構成・教育水準などのデータを整理し、20世紀前半の社会経済データマップを作成した。 第三に、加工済みの社会経済データマップを用いて、バンガロール農村でその視覚的理解の難易度をテストした。調査の対象者はすべて貧困層女性の非識字者(計127名)で、今回の調査では主に通学エリアに焦点をあてた。現在の子供たちの通学ルートについては住民の関心が高く、多くの意見が得られた。データマップは教育行政と交通行政の課題をリンクさせ、地域住民(特に非識字者)と官僚が共同で取り組む上で有効ではないかと推測される。
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Research Products
(2 results)