2005 Fiscal Year Annual Research Report
三宅島の噴火がヤブツバキの繁殖成功をめぐる生物間相互作用に与える影響
Project/Area Number |
05J02750
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
阿部 晴恵 東邦大学, 理学部, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 生物間相互作用 / ヤブツバキ / 花粉媒介 / 遺伝的多様性 / 火山島 / 三宅島 / 新島 |
Research Abstract |
本研究ではヤブツバキの雌性繁殖成功と次世代の遺伝的多様性に関わる生物間相互作用を明らかにするために、三宅島及び新島に置いて開花密度の異なる地域に置いて花粉媒介系とおしてヤブツバキの繁殖成功がどのように変動するのか、そのメカニズムを明らかにすることを目的としている。本年度は雌性繁殖成功として種子生産過程(受粉率、初期果実の生存率、結果率、結実率)を、次世代の遺伝的多様性の評価として成熟木および種子のAllelicRichnessを調べた。種子生産過程では、開花密度が低い地域のほうが受粉率は高い傾向がある一方で、初期果実の生存率は開花密度と正の相関を示した。その結果、最終的な結果率では各サイト間で差は現れなかった。結実率についても各サイト間で差は見られなかった。次世代の遺伝的多様性については、成熟木、種子共に各サイト間での差はほとんどみられず、開花密度の低いところでも高いところと同じように花粉媒介が行われていることが予測された。つまり火山活動による影響はヤブツバキの繁殖成功に必ずしも悪影響をもたらすわけではないことが明らかになった。さらにそれぞれの係数における相関を調べたところ、ポリネーターの密度、これは開花密度と強い正の相関があり、これは受粉率や初期の果実の生存率とは相関があるものの、結果や結実、遺伝的多様性に関しては、ポリネーターの密度や花の密度は直接的に効いてこなかった。しかし、事前調査の結果(三宅島3サイト分)では、株内の花に対するポリネーターの訪花率というのが効いてくる可能性が示された。つまり、ポリネーターの訪花行動がヤブツバキの繁殖成功の鍵を握っていると考えられる。そのため17年から18年の冬期にラジオテレメトリー調査によってポリネーターの行動圏やポリネーターについている花粉の遺伝的多様性、そして訪花頻度調査を行った。現在その解析を進めている段階である。
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Research Products
(1 results)