2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J02751
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
島田 奈央 東邦大学, 理学部, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 遺伝子 / シグナル伝達 / 進化 / 発生・分化 |
Research Abstract |
本年度は、これまでに単離された14個のSTATaサプレッサー遺伝子のうち、以下の4つの遺伝子について解析を進めた。 1、clcB遺伝子は、プロモーターを単離し、lacZレポーターコンストラクトを作製し解析したところ、予定柄細胞で発現しSTATaの活性化局在と一致していることが明らかになった。clcB遺伝子破壊株の作製に成功したが、表現型の変化はみられなかった。2、NK20遺伝子も遺伝子破壊株の作製に成功したが表現型の変化は見られなかった。NK20遺伝子は93アミノ酸からなる小さなタンパク質しかコードできないことからnon-coding RNA(ncRNA)として機能している可能性があった。そこでRed-Shift GFP融合コンストラクトを作製しウエスタンブロット法で検出を行ったところ、タンパク質の発現が確認され翻訳されていることが示された。また蛍光顕微鏡下での観察によりNK20は細胞質中に存在していることが明らかになった。3、Dd-CH1遺伝子のコード領域全長を親株にて過剰発現させたところ、形態変化はなく、タンパク質のN末端領域がdominant negativeとして効いてサプレッションしていることが判明した。Dd-CH1のGFP融合コンストラクトを用いて細胞内局在を観察したところ膜タンパク質であることが確認できた。遺伝子破壊株の作製が難しかったため、アンチセンス法によるノックダウン株を作製したが表現型の変化は見られなかった。また、RT-PCRの実験よりDd-CH1はDd-STATa遺伝子の下流には位置しないことが明らかとなった。4、dutA遺伝子はタンパク質にされないncRNAをコードする遺伝子であり、いくつかの異なる領域をもつサプレッサークローンが単離されていた。ウエスタンブロット法により各dutAサプレッサークローン中のリン酸化STATaの量を調べたところそのサプレッションの強さにに比例してリン酸化STATaの量が変化していた。このことからdutAによるサプレッションはSTATaの上流、もしくはリン酸化STATaの分解の経路に関わっていることが示された。 また、サプレッションのメカニズムの解明するために、STATa遺伝子部分破壊株、野生株、STATa遺伝子破壊株の3つの株の間で遺伝子の発現パターン変化をマイクロアレイ法により解析を行ない粗データを得ることができた。来年度、この結果を確かめるため、これらの3つの株間でRT-PCRを行う予定である。本年度はこれらの遺伝子破壊株の作製及び各コンストラクトの作製に時間をとられ、新たなサプレッサーのスクリーニングは行えなかった。以上の成果の一部はフランスにて開催された国際細胞性粘菌学会で発表を行った。
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Research Products
(1 results)