2006 Fiscal Year Annual Research Report
枯草菌メチオニン還元硫黄再生経路で働く鍵酵素の機能と分子進化
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05J02803
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
齋藤 洋太郎 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ポリアミン / メチオニン還元硫黄再生経路 / 酵素学 / イソメラーゼ / RuBisCO / RLP / エノラーゼ / 分子進化 |
Research Abstract |
ポリアミン合成に関わるメチオニン還元硫黄再生経路における鍵酵素、MTR-1-P(メチルチオリボース1-リン酸)イソメラーゼとDK-MTP-1-P(2,3-ジケト5-メチルチオペンチル1-リン酸)エノラーゼの解析を行った。枯草菌における両遺伝子の大腸菌リコンビナントタンパク質を作製し、K_m、V_<max>、至適温度、至適pH等の酵素学的諸性質を決定した。MTR-1-Pはヘミアセタール基にリン酸を有するので鎖状型を形成できず、そのようなアルドース糖の開環反応の酵素学的解析は今までに報告例が無い。また、NMRやMS解析の結果から、触媒時のプロトン移動中に溶媒からのプロトンの取り込みが極めて起こり難いことを明らかにした。このことから、一般の糖イソメラーゼとは異なり、プロトンを取り込むエンジオール機構以外の反応機構を有していると考えられた。DK-MTP-1-Pエノラーゼはアミノ酸配列上、光合成炭酸固定酵素RuBisCOと低いながらも相同性を示し、RuBisCO様タンパク質、RLPと呼ばれている。我々の解析からDK-MTP-1-Pエノラーゼは配列だけではなく、金属要求性や触媒に必要な残基もRuBisCOと酷似していることを変異実験等により明らかにした。X線構造解析の結果からも、RuBisCOとDK-MTP-1-Pエノラーゼは構造が極めて類似していることがわかった。DK-MTP-1-Pエノラーゼの反応はRuBisCOの初発反応であるエンジオール化のステップと似ていたが、更に続く反応の中間体アナログ、2-カルボキシアラビニトール1,5-ビスリン酸でもDK-MTP-1-Pエノラーゼの活性が阻害されたことから、DK-MTP-1-PエノラーゼはRuBisCOのエンジオール化以降の反応についても、触媒するための潜在的能力があることがわかり、両者の進化的繋がりを強く示すことができた。
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