2005 Fiscal Year Annual Research Report
植物の液胞のダイナミクスに関与するリン脂質代謝酵素の分子遺伝学的・生化学的解析
Project/Area Number |
05J02812
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
倉増 紀予子 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | シロイヌナズナ / 液胞 / リン脂質 |
Research Abstract |
細胞を構成する生体膜は、ダイナミック(動的)な性質を持ち、数々の細胞機能の営みの場である。このような動的性質と細胞機能において、膜脂質の果たす役割は大きいと思われる。私はこれまでに、シロイヌナズナの花茎重力屈性異常変異体sgr2-1および、その抑圧変異体krt171の解析を通じ、KRT171蛋白質が、膜貫通部位を持ち、液胞に作用するアシルトランスフェラーゼである可能性が高いことを示した。一方、SGR2蛋白質は、液胞膜貫通型のホスホリパーゼA1であると予想されている。このことから、KRT171およびSGR2が、膜の同種のリン脂質に関してアシル鎖の脱着を行う可能性を含め、液胞の動的性質や、細胞機能・個体生理機能にどのように関与するかを明らかにしたいと考えて研究を行った。今年度は、まず、KRT171遺伝子について相補性試験を行い、これが原因遺伝子であることを具体的に確認した。そして、KRT171とRFPの融合蛋白質を作成し、それがシロイヌナズナ培養細胞中で主に液胞膜に局在することを明らかにした。また、SGR2とGFPの融合蛋白質も同時に用い、KRT171とSGR2が、液胞膜上で共在することを明らかにした。このことは、両者の相互作用を明らかにする上で非常に重要な意味を持つ。さらに、植物体内でも、両蛋白質が共在するかを現在調査準備中である。また、両者の酵素活性と基質特異性については現在調査中である。KRT171とSGR2のそれぞれのN末端側、C末端側抗体を用いたトポロジー解析は、本研究の重要なポイントの1つである。KRT171抗体について、N末端側抗体はほぼ完成し、C末端側抗体についても鋭意作成中である。液胞ダイナミクスの解析に関しては、液胞膜局在が確認されている蛋白質にGFPを融合させた、液胞マーカーラインを、各変異体に導入を終えたので、これから具体的に解析する予定である。
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