2006 Fiscal Year Annual Research Report
植物の液胞のダイナミクスに関与するリン脂質代謝酵素の分子遺伝学的・生化学的解析
Project/Area Number |
05J02812
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
倉増 紀予子 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | シロイヌナズナ / 重力屈性 / 液胞 |
Research Abstract |
細胞を構成する生体膜は、ダイナミック(動的)な性質を持ち、数々の細胞機能の営みの場である。このような動的性質と細胞機能において、膜脂質の果たす役割は大きいと思われる。私はこれまでに、シロイヌナズナの花茎重力屈性異常変異体sgr2-1および、その抑圧変異体krt171の解析を通じ、KRT171蛋白質が、膜貫通部位を持ち、液胞に作用するアシルトランスフェラーゼである可能性が高いことを示した。一方、SGR2蛋白質は、液胞膜貫通型のホスホリパーゼA1であると予想されている。このことから、KRT171およびSGR2が、膜の同種のリン脂質に関してアシル鎖の脱着を行う可能性を含め、液胞の動的性質や、細胞機能・個体生理機能にどのように関与するかを明らかにしたいと考えて研究を行った。今年度は、液胞膜マーカーGFPをsg2変異体およびkrtl71 sgr2二重変異体に導入した植物を用い、各変異体において液胞膜の状態を調べた。その結果、krt171 sgr2二重変異体では、sgr2変異体の液胞の異常が部分的に回復していることがわかった。また、SGR2の酵素活性について調査し、ホスホリパーゼA1として機能することを確認した。SGR2は膜のリン脂質の中でも、ホスファチジルコリンおよびホスファチジルエタノールアミンを特異的に切断する傾向が見られた。さらに、pH5.5以下の環境下では、酵素として機能しないことがわかった。これらのことは、液胞膜に局在するSGR2のトポロジーについて、活性部位が液胞膜の外側であることを示唆しており、植物のホスホリパーゼA1についての重要な知見となると考えている。
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