2006 Fiscal Year Annual Research Report
ES細胞の生存を制御するmTORおよび関連因子の解析
Project/Area Number |
05J02821
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
村上 未玲 (財)東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | オートファジー / ES細胞 / ラパマイシン / 初期発生 |
Research Abstract |
(1)mTOR Tet-off細胞の樹立と解析 免疫抑制剤標的タンパクmTORはこれまでラパマイシンを用いた機能抑制実験によりその機能の多くが解明されてきた。本研究は、薬理学的解析では見えてこなかったmTORの真の機能を解明することを目的におこなっている。これまでの本研究で、mTORは初期胚発生やES細胞の増殖に必須である事を明らかにした。ES細胞ではコンディショナルノックアウト細胞を樹立してリコンビナントのCREタンパクを用いて、ノックアウト細胞の樹立を試みたが細胞は殆ど増えてこず、十分に研究する事が出来なかった。そこで、私はDOX依存的にmTORの発現を誘導する事ができるKO細胞を試み、樹立する事ができた。現在はその細胞を使って、これまでのラパマイシンによる薬理学的な機能抑制では見えてこなかったmTORの真の機能を解析するために、実験をおこなっている。 (1)初期胚発生時のオートファジー オートファジーが起こらないATG5ホモ変異マウスは外見上ほぼ正常に出生するものの、生後一日以内に死亡するという事が報告されている。出生直後に胎盤からの栄養供給が遮断されると飢餓状態に陥る事が明らかにされているが、エネルギー恒常的におこるオートファジーがおこらないために致死となるといわれている。本研究では、胚発生の最も初期段階である卵成熟から胞胚期までのオートファジーの意義を解明する事を目的に研究を進めている。 本研究の結果、未受精卵ではまったくオートファジーは起こっていないのに関わらず受精卵、2細胞期以降の卵で積極的に起こっている可能性がでてきた。電子顕微鏡レベルでも解析を進めている。 人工授精で回収してきた2細胞期の卵をリソソーム阻害剤入りの培地で体外培養を行った。コントロールでは殆どが胞胚期まで発生が進んだのに対して、阻害剤を添加するとすべての卵が2細胞期で発生を停止した。現在は、卵成熟時からのATG5の発現をノックアウトした母性因子の影響をうけないマウスを用いて詳細な解析を進めている。
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