2006 Fiscal Year Annual Research Report
植物における耐病性と形態形成のクロストークに関する分子遺伝学的解析
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05J02847
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
猪狩 和成 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | シロイヌナズナ / 側枝形成 / 抵抗性反応 / 耐病性 / クロストーク / NBS-LRR / サイトカイニン |
Research Abstract |
植物における側枝形成や花成などの「形態形成」と病原体の感染などに対する「環境応答」は密接な関係にある。本研究は、複数の短い側枝を形成し、かつ恒常的抵抗性反応を示すシロイヌナズナ半優性変異体uni-ldを詳細に解析することで、植物における「形態形成」と「耐病性」のクロストークを分子レベルで解明することを目的としている。 1.UNIの分子遺伝学的解析 UNIは新規のNBS-LRRをコードする。uni-1D変異型のUNI(mUNI)を自身のプロモータ(pUNI)を用いて野生型で発現させたところ、uni-1Dの表現型をすべて再現するが、さらにUNIの過剰発現によっても同様の表現型を再現できることを見いだした。現在この原因を解折中である。また、UNIのペプチド抗体作成に成功した。UNI抗体を用い、生化学的にタンパク質の局在を調べたところ、UNIおよびmUNIタンパク質は膜局在であることが示された。 2.耐病性・形態形成クロストークの分子実態の解明 SA分解酵素nahGをuni-1Dに導入したところ、mUNIはSA防御応答経路を介さずに形態異常を引き起こすことが示された。同様の結果がサリチル酸合成酵素をコードする遺伝子SID2の機能欠損によっても得られた。さらにSA防御応答経路は抑制しないが、形態異常を抑制するuni-1D抑圧変異を単離し、その原因遺伝子がERECTAであることを同定した。さらに、マイクロアレイの結果から複数のサイトカイニン応答性遺伝子の発現がuni-1Dにおいて増加していることを見いだした。そこでサイトカイニンなどの植物ホルモン量を測定したところ、uni-1Dにおいてサイトカイニン量が増加していることが明らかになった。現在、サイトカイニンとuni-1D変異および実際に病原菌に対する抵抗性に注目し解析を進めている。
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