2005 Fiscal Year Annual Research Report
神経細胞における小胞体ストレスの生体内可視化-神経変性疾患の病態解明を目指して-
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05J02848
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
村上 智彦 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 小胞体ストレス / 樹状突起 |
Research Abstract |
神経細胞の樹状突起における小胞体ストレス応答を確認・可視化するためにマウス海馬初代培養を用い実験を行った。小胞体ストレス応答系の下流(標的)分子[GRP78/Bip(小胞体分子シャペロン),eIF2α-P(リン酸化eIF2α)]が樹状突起でも応答しているかを確認するため免疫染色を行った。その結果、小胞体ストレス誘導剤(tunicamycin)による小胞体ストレス負荷後、樹状突起内においてGRP78/Bip,eIF2α-Pの免疫反応性が上昇することが確認された。このことは小胞体ストレスを受けることで樹状突起上の小胞体でも小胞体ストレス応答が起こることを示唆している。次に樹状突起上で小胞体ストレス応答が機能するのであれば、小胞体ストレスセンサー(ATF6,IRE1,PERK)が存在するはずである。内在性のセンサーを免疫染色で検出するのは難しいため、ATF6,IRE1,PERKのGFP融合発現ベクターを作成し、神経細胞に導入後共焦点顕微鏡にて観察を行った。その結果、ATF6,IRE1,PERK三つのセンサーが神経細胞の細胞体の小胞体だけではなく樹状突起内の小胞体にも局在した。更にこれらのセンサーは樹状突起上で活性化するのかIRE1に着目して調べた。IRE1は小胞体ストレスを受けて活性化するとリン酸化され、IRE1リン酸化抗体で検出することが可能である。神経細胞にIRE1を導入し小胞体ストレスを加えてIRE1リン酸化抗体による免疫染色を行った。その結果ストレスなしではIRE1のリン酸化は起きないのが、小胞体ストレス負荷後、リン酸化が細胞体周辺だけではなく樹状突起上でも起こることが観察された。このことは樹状突起内においてIRE1が活性化する事を示している。以上の結果は樹状突起内の小胞体においても小胞体ストレス応答が起こることを示唆している。
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