2006 Fiscal Year Annual Research Report
未分化ES細胞特異的に発現する遺伝子群のエピジェネティックな発現調節機構の解明
Project/Area Number |
05J02849
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
今村 公紀 京都大学, 大学院医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ES細胞 / DNA methylation / GS細胞 / Oct3 / 4 / Sox2 |
Research Abstract |
これまでに、(1)オスの生殖幹細胞株であるGS細胞ではNanogなどのOct3/4とSox2の一部の標的遺伝子が発現しておらず、(2)これらの遺伝子座のOct3/4とSox2の標的領域は領域特異的かつオスの生殖系列特異的に高メチル化状態を示すこと、そして(3)GS細胞をDNA脱メチル化剤で処理することによって発現誘導が可能であることを解明してきた。そこで、GS細胞におけるOct3/4とSox2の結合状態を解析するためにクロマチン免疫沈降法を行ったところ、生殖系列特異的な高メチル化の有無に関わらず、標的配列に対する各転写因子の結合は認められなかった。そこで、GS細胞におけるOct3/4とSox2のタンパク発現を調べたところ、Oct3/4タンパクはES細胞の1/10程度であり、Sox2タンパクは完全に欠失していることが判明した。Oct3/4とSox2のmRNAはES細胞とGS細胞で共に高発現していたことから、GS細胞におけるOct3/4タンパクの低発現、及びSox2タンパクの欠失はpost-transcriptionalな制御であることが示唆された。また、mRNAとタンパク間の発現量の不一致は、他の多くのES細胞特異的遺伝子についても認められた。以上の結果から、GS細胞がES細胞様の分化多能性を持たない原因として、(1)Oct3/4とSox2の標的遺伝子の転写レベルでの抑制と、(2)Oct3/4とSox2を含むES細胞特異的遺伝子のタンパクレベルでの抑制の2段階の制御機構が推測された。また、GS細胞におけるES細胞特異的遺伝子のタンパクレベルでの抑制には、mRNAの翻訳抑制とタンパク分解の2つの制御が考えられることから、GS細胞のプロテアソーム阻害剤MG-132処理を行ったが、Sox2タンパクの発現は認められずタンパク欠損は翻訳阻害に起因することが示唆された。
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Research Products
(1 results)