Research Abstract |
金属光導波線路の固有モード特性をフルベクトル(FV)虚軸ビーム伝搬法(BPM)により明らかにし,セミベクトル(SV)BPMから得られる結果と比較した.誘電体基板上に金属を装荷した基本構造の場合,カットオフとなる金属幅付近では副成分の影響が大きくなるため,FV-BPMから得られる実効屈折率,伝搬損失は,SV-BPMでの値と差が生じるが,カットオフ幅より十分に大きい場合には,両者の差は小さく留まることを明示した. 更に,金属膜の下方に誘電体コアを付加した光線路の特性を評価した.金属幅1.5μm付近では,副成分の強度が極大となり,FV-BPMから得られる実効屈折率と伝搬損失は,SV-BPMの値に比べ高くなり,両者の伝搬損失の差は最大で約3dB/mmとなることを示した.金属光線路は主に短距離配線として使用され,この場合,実際の実効屈折率差と損失差は一般に無視できる.結果として,厳密な評価にはFV解析が必要であるが,特性の見積もりにはSV解析も利用できることを明らかにした.これらの成果を電子情報通信学会の論文誌に報告した. 誘電体コアを付加した光線路を利用し,誘電体導波路と金属光導波線路のモードを相互に変換する素子を提案した.このモード変換器は,金属膜を伝搬方向ヘテーパ化した独創的な構造である.本分割器は,突合せ結合のできる利点があり,集積化に適している. 更に,本変換器を応用し,分岐型TE/TM波分割器を構成した.他グループで検討された分割器の長さ(>1000μm)に比べ,本分割器が大幅に短いデバイス長(<200μm)で波長1.31μmから1.55μmの広帯域にわたり動作することを明らかにした.これらの報告の一部を電子情報通信学会技術研究報告に報告し,詳細な議論をIEEE/OSAの論文誌で行った.
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