2007 Fiscal Year Annual Research Report
植物体内細菌窒素固定エンドファイトの機能解明と利用技術の開発
Project/Area Number |
05J02920
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Research Institution | National Agricultural Research Organization |
Principal Investigator |
塔野岡 純子 (寺門 純子) National Agricultural Research Organization, 中央農業総合研究センター・土壌作物分析診断手法高度化研究チーム, 特別研究員(PD)
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Keywords | エンドファイト / 窒素固定 / サツマイモ / 根粒菌 |
Research Abstract |
サツマイモは養分の少ない土壌条件でも生育可能で、一定収量を得るために必要な施肥窒素量も少ないことから、エンドファイト(植物体内細菌)による窒素固定の寄与が推定されている。これまでにサツマイモからは培養法により、数種類の窒素固定菌が分離されてきたが、環境中の微生物のほとんどは難培養性であるとされており、未分離の有用な窒素固定エンドファイトが多数生息している可能性も指摘されてきた。 そこで私達は、サツマイモからDNAとRNAを抽出し、ニトロゲナーゼレダクターゼ遺伝子(nifH)特異的なディジェネレートプライマーを用いてnested-PCRを行い、得られた塩基配列から窒素固定菌の検索を行ってきた。その結果、サツマイモ体内には従来の培養法では分離されなかった複数の窒素固定菌が生息している可能性が示唆された。一方、nifHを発現している菌は、根粒菌(Bradyrhizobium属)をはじめとする一部の窒素固定菌であることが示唆された。今年度は、遺伝子の相同性解析によって同定されたこれらの菌を、人工培地上に分離することを試みた。表面殺菌したサツマイモの茎および塊根の破砕抽出液を、複数の貧栄養培地で長期間培養したところ、根粒菌を含む窒素固定遺伝子保有菌が複数培地上に分離された。さらに、根粒菌が実際にサツマイモに感染するかどうかを調査するため、相同性の高かった根粒菌をサツマイモの茎に接種し、一定期間毎に茎からDNAを抽出し、根粒菌のnifHに特異的なプライマーを用いてPCRを行った。その結果、接種菌のnifHに相当する遺伝子断片が増幅され、サツマイモ体内に根粒菌が感染していることが確認された。これらの結果から、根粒菌はマメ科植物だけではなく、サツマイモのような非マメ科植物の組織内においても生息し、窒素固定をしていることが明らかになった。
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Research Products
(2 results)